第111回 看護師国家試験 午後 問95 解説

状況設定成人看護学✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み94~96の問いに答えよ。 Aさん(38歳、会社員、女性)は夫と2人暮らし。通勤中に突然の頭痛を訴えて倒れ、救急搬送された。入院後に行った頭部CT検査および頭部MRI検査で、脳腫瘍と診断された。Aさんは脳腫瘍摘出のために開頭術を受けた。 脳腫瘍摘出手術の結果、膠芽腫と診断され、Aさんは放射線療法と抗癌薬内服による化学療法を行うことになった。放射線療法を開始して1週後、Aさんが頭皮のかゆみを訴えたため、副腎皮質ステロイド軟膏が処方された。 Aさんへの説明として適切なのはどれか。

✅ 正解

3

💡 解説

✅ 放射線皮膚炎に処方された軟膏は、照射前に拭き取ってから照射する。

膠芽腫に対する放射線療法では照射部位(頭皮)に放射線皮膚炎が生じ、かゆみや発赤が起こる。副腎皮質ステロイド軟膏など外用薬が皮膚に残ったまま照射すると、ボーラス効果(軟膏が線量を皮膚表面に集めてしまう)により皮膚の線量が増し皮膚障害を悪化させる。そのため軟膏は放射線照射前に拭き取っておく。

照射部位は機械的・化学的な刺激を避けるのが原則で、剃毛や強い摩擦、テープの貼付は皮膚炎を悪化させるため行わない。温めると血流が増えてかゆみは強くなるため、温罨法も選ばない。放射線皮膚炎は照射終了後すぐには改善せず、しばらく持続・遷延することがある。

膠芽腫とは

脳にできる悪性腫瘍のうち最も進行が速いもの。手術で取りきることが難しく、術後に放射線療法と抗癌薬を組み合わせる。

放射線皮膚炎とは

放射線を当てた範囲の皮膚に起こる炎症。日焼けに似た発赤とかゆみから始まり、進むと皮がむける。

  • 1

    「定期的に髪の毛をそります」不正解

    剃毛は皮膚を傷つけ放射線皮膚炎を悪化させる。照射部位は機械的刺激を避ける。

  • 2

    「かゆみが強いときは温めてください」不正解

    温めると血流増加で掻痒が増強する。かゆみに温罨法は不適切。

  • 3

    「軟膏は放射線照射前に拭き取ってください」正解

    軟膏が残るとボーラス効果で皮膚線量が増す。照射前に拭き取っておく。

  • 4

    「かゆみは放射線照射の終了日にはおさまります」不正解

    放射線皮膚炎は照射終了後も持続・遷延することがあり、終了日に必ずおさまるわけではない。

📚 ここも一緒におさえておこう

放射線皮膚炎は、してよいことと避けることを入れ替えて問われる。「照射部位はこすらない・剃らない・貼らない、軟膏は照射前に拭き取る」とまとめて覚えよう。 放射線皮膚炎は照射開始から2〜3週ころに発赤・乾性落屑として現れ、進むと湿性落屑になる。照射終了後もしばらく続き、数週間かけて回復する。

  • 照射部位はこすらない・熱い湯や冷水を避ける・直射日光を避ける。石けんは泡でやさしく洗い、押さえ拭きする。
  • 照射野のマーキングは消さないよう説明する。
  • 外用薬は照射直前に拭き取る(残っているとボーラス効果で皮膚の線量が増えるため)。

出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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