第111回 看護師国家試験 午後 問53 解説

一般老年看護学✔ 監修済み

📝 問題

結晶性知能はどれか。

✅ 正解

1

💡 解説

✅ 近道を考える(既存の知識・経験の応用)が結晶性知能である。

知能は流動性知能と結晶性知能に大別される。 結晶性知能は、これまでの経験・学習・知識を通じて培われた能力(言語能力・判断力・理解力・応用力など)で、加齢の影響を受けにくく高齢でも保たれやすい。 「よく利用するスーパーマーケットから自宅までの近道を考える」は、過去の経験・地理的知識を応用する能力であり、結晶性知能に該当する。

他の選択肢はいずれも新しい情報を素早く記憶・処理する流動性知能に相当する。 パソコンの操作方法を覚える、電話番号を登録する、外国語の単語を暗記する、はいずれも新規の記銘・学習であり、加齢とともに低下しやすい流動性知能である。

覚え方は、結晶性知能=「これまでの経験・知識の結晶を使う(応用・判断)」で加齢に強い、流動性知能=「新しいことを覚える・素早く処理」で加齢に弱い。 新規暗記なら流動性、経験の応用なら結晶性と見分ける。

記銘とは

新しい情報を覚え込むこと。覚える(記銘)→ためる(保持)→思い出す(想起)という記憶の最初の段階にあたる。

  • 1

    よく利用するスーパーマーケットから自宅までの近道を考える。正解

    過去の経験・地理的知識を応用して近道を考える能力で、結晶性知能に該当する。

  • 2

    パソコン教室で操作方法を覚える。不正解

    新しい操作方法の習得は流動性知能である。

  • 3

    携帯電話に電話番号を登録する。不正解

    電話番号の新規記銘は流動性知能である。

  • 4

    外国語の単語を暗記する。不正解

    外国語単語の暗記は新規学習であり流動性知能である。

📚 ここも一緒におさえておこう

加齢の認知機能は、低下する面と保たれる面を入れ替えて問われる。どちらに入るのかを対にして覚えよう。 加齢による認知機能の変化では、短期記憶(作動記憶)と情報処理速度は低下する一方、意味記憶・手続き記憶は保たれやすい。低下する面ばかりでなく保たれる面があることが高齢者看護の前提になる。

  • 加齢による物忘れは体験の一部を忘れ、ヒントで思い出せ、自覚がある。認知症では体験そのものを忘れ、自覚に乏しく、生活に支障が出る。
  • 高齢者の学習支援では本人のペースに合わせる、これまでの経験と結びつける、繰り返し確認する、一度に多くを教えないことが有効。
  • 結晶性知能を生かせる役割(助言・伝承・地域活動)は、自己効力感と生きがいにつながる。
流動性知能と結晶性知能
流動性知能結晶性知能
内容新しいことを覚える力、暗記、計算・処理の速さ、新奇な問題の解決言語能力、理解力、判断力、経験に基づく応用力
加齢の影響成人期をピークに低下しやすい高齢期まで比較的よく保たれる
例外国語の単語の暗記、機器の新しい操作の習得、電話番号の記銘慣れた道での近道の判断、人生経験を生かした助言

出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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