第111回 看護師国家試験 午後 問44 解説
📝 問題
中心静脈栄養法を受けている患者の看護について適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 中心静脈栄養法ではカテーテルの固定位置を毎日確認する。
中心静脈栄養(TPN/IVH)では、カテーテルが抜けかけたり接続が外れたりすると、出血・空気塞栓・輸液漏れという重い合併症につながる。 そのため固定の位置とテープのはがれ、刺入部の状態を毎日確認する。
他の選択肢は、感染対策の考え方が誤っている。刺入部は発赤・腫脹・浸出液といった感染徴候を見られるよう、透明のドレッシング材で覆う。見えないように覆うのは逆である。 消毒はドレッシング交換のときに行う。そのつど消毒を重ねてもカテーテル関連血流感染(CRBSI)は減らず、かえって皮膚を傷める。 抗菌薬をあらかじめ投与しても感染は防げず、耐性菌を増やすため行わない。感染予防は無菌操作とドレッシング管理で行う。
中心静脈栄養とは
心臓に近い太い静脈まで入れたカテーテルから、高いカロリーの輸液を入れる方法。濃い輸液は末梢の細い静脈では血管を傷めるため、血流の多い太い静脈を使う。
空気塞栓とは
接続の外れなどから血管に入った空気が、血流をふさいでしまうこと。
- 1
カテーテルの刺入部は見えないように覆う。不正解
感染徴候を観察するため透明ドレッシングで刺入部を見えるように覆う。
- 2
カテーテル刺入部を定期的に消毒する。不正解
刺入部管理はドレッシング交換時の消毒で行う。頻回消毒は皮膚を傷め不適。
- 3
カテーテルの固定位置を毎日確認する。正解
カテーテルの逸脱・自己抜去防止のため、固定位置を毎日確認する。
- 4
予防的に抗菌薬の投与を行う。不正解
予防的な抗菌薬投与は耐性菌を助長するため行わない。
📚 丸暗記より仕組みで覚えよう
栄養管理の原則は「腸が使えるなら腸を使う」。経腸栄養が第一選択で、中心静脈栄養は腸管が使えないときに選ぶ。 長く続けると腸管粘膜の萎縮が起こり、カテーテル関連感染の危険も高まる。
- 中心静脈カテーテルの穿刺部位は内頸静脈・鎖骨下静脈・大腿静脈。挿入時の合併症は気胸・血胸・動脈穿刺・空気塞栓・不整脈で、挿入後は胸部エックス線で先端が上大静脈にあることを確認する。
- 高カロリー輸液は、急に中止すると低血糖、急速に投与すると高血糖を招く。開始時・終了時は段階的に速度を変える。
- 長期のTPNではビタミンB1欠乏による乳酸アシドーシスやウェルニッケ脳症に注意し、必ずビタミン製剤を併用する。
- 輸液ラインの接続部の操作は無菌操作で行う。ドレッシングは汚染・剥がれ・湿潤があれば直ちに交換する。
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について