第111回 看護師国家試験 午後 問117 解説

状況設定小児看護学✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み115~117の問いに答えよ。 午前9時頃、震度5強の地震が発生した。二次救急医療機関の救命救急病棟に勤務する看護師は、自身の身の安全を確保し、揺れが収まると病院の災害発生時のマニュアルに沿って行動を開始した。病棟には人工呼吸器を使用中の患者が1人、輸液ポンプを使用中の患者が3人、酸素療法中の患者3人が入院している。 A君とBさんはともに入院して治療が始まった。発災から10日後、A君、Bさんの治療経過は良好で合併症もなくバイタルサインは安定していた。Bさんから看護師に「Aは好きなお菓子を食べず、私のそばからずっと離れず甘えてきます。昨夜はおねしょをしていたようで、びっくりしました。どうしたらよいのかわかりません」と相談があった。 看護師の対応として適切なのはどれか。

✅ 正解

4

💡 解説

✅ 災害後の子どもの退行現象(甘え・おねしょ)には、甘えを受け止め抱きしめてあげる。

発災から10日後、A君は好きなお菓子を食べず、母親から離れずに甘え、おねしょがみられている。 年齢より幼い行動に戻るこの状態を退行(赤ちゃん返り)といい、災害のような強いストレスのあとに子どもによくみられる正常な心理反応である。 やめさせるのではなく、甘えを受け止めて抱きしめるといったスキンシップで安心感を届けることが、回復につながる。

「お母さんがしっかりしましょう」は、すでに困っている母親をさらに追い込む。 「1人になる時間をつくる」は、そばにいたいという気持ちと正面からぶつかる。 「水分を控える」は、おねしょを子どもの落ち度として扱う対応で、脱水を招くおそれもある。

退行とは

強い不安やストレスにさらされたとき、指しゃぶりや夜尿など、以前できていた発達段階の行動に一時的に戻ること。赤ちゃん返りともいう。

  • 1

    「お母さんがしっかりしましょう」不正解

    母親を叱咤する対応は母親を追い詰め、支援にならない。

  • 2

    「A君が1人になる時間をつくりましょう」不正解

    1人になる時間をつくると不安定な子どもをさらに不安にさせる。退行への対応として逆効果。

  • 3

    「A君に水分を控えるよう声をかけましょう」不正解

    夜尿に水分制限で対応するのは誤り。脱水を招く恐れもあり不適切。

  • 4

    「A君が甘えてきたら抱きしめてあげましょう」正解

    災害後の退行には甘えを受け止め抱きしめて安心感を与えるのが適切。正常反応への基本対応。

📚 ここも一緒におさえておこう

本問のような災害後の子どもの反応は、「異常な症状か、正常な反応か」を見分けさせる形で問われる。 退行のほか夜泣き・悪夢、分離不安、災害ごっこ(再現遊び)、食欲低下、腹痛・頭痛などの身体症状がみられるが、多くは時間とともに回復する正常な反応である。

  • 対応の原則=叱らない・急がせない、生活のリズムと日課を早く取り戻す、安心できる大人がそばにいる。
  • 災害ごっこは子どもが体験を整理する過程であり、頭ごなしに止めない。
  • 保護者自身のケアが子どもの安定につながる。親を責めるような言葉かけは避ける。
  • 強い症状が1か月以上続いて生活に支障がある場合は心的外傷後ストレス障害(PTSD〈ピーティーエスディー〉)を疑い、専門家につなぐ。

出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

この問題をアプリで演習しませんか?

この1問を演習する(無料)第111回の問題一覧を見る