第111回 看護師国家試験 午前 問60 解説
📝 問題
A 君(小学6年生)は病院に併設された院内学級に通いながら骨肉腫の治療を続けていた。現在、肺転移があり終末期にある。呼吸障害のため鼻腔カニューレで酸素(2L/分)を吸入中である。A 君の食事摂取量は減っているが意識は清明である。1週後に院内で卒業式が予定されている。A 君は「卒業式に出席したい」と話している。看護師の A 君への対応として適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 終末期の子どもの『卒業式に出たい』という希望を尊重し実現に向け準備する。
A君は意識清明で、自分の言葉で「卒業式に出席したい」と希望を伝えている。終末期の看護では、残された時間をその人らしく過ごせるよう、本人の意思と希望を尊重することが基本になる。 酸素の管理や体調をみながら、出席できる方法を多職種で考えていく対応が適切である。
本人が意思を示せているのに両親に判断を委ねるのは、本人を意思決定から外すことになる。「今の状態では難しい」と最初から否定するのも、「体力をつけてから」と先延ばしにするのも、限られた時間のなかで願いをかなえる機会を失わせる。
- 1
両親に判断してもらおうと話す。不正解
本人が意思を表明できる状況で両親に判断を委ねるのは、本人の意思を軽視する対応である。
- 2
今の状態では出席は難しいと話す。不正解
最初から出席は難しいと否定するのは、本人の希望を尊重していない。
- 3
出席できるように準備しようと話す。正解
本人の意思を尊重し、出席できるよう準備・調整する姿勢が終末期ケアとして適切である。
- 4
出席を決める前に体力をつけようと話す。不正解
体力をつけてからでは限られた時間のなかで希望実現の機会を失わせるおそれがある。
📚 国試でよく狙われるところ
終末期の場面問題は、本人の希望をかなえる方向の選択肢が正答になりやすい。子ども自身を意思決定の主体として扱い、家族やきょうだいも支援の対象と考えよう。
- 発達段階に応じて説明し了解を得るインフォームド・アセントを大切にする。
- 世界保健機関(WHO)の緩和ケアの定義では、生命を脅かす疾患に伴う問題に直面する患者と家族を対象とし、身体・心理社会的・スピリチュアルな苦痛に対応する。
- きょうだい支援(同胞への説明・気持ちの受け止め)と、死別後のグリーフケアも看護の役割。
- 院内学級・チャイルドライフスペシャリスト・保育士など多職種と連携し、その子らしい時間を支える。
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について