第111回 看護師国家試験 午前 問37 解説
📝 問題
上肢のフィジカルアセスメントの立位での実施場面の写真〔別冊No. 1〕を別に示す。手のひらを上にして、肩の高さで水平に前方に両腕を伸ばしてもらった。その後、閉眼してもらうと、左腕が回内しながら下がっていった。アセスメントの結果で正しいのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 閉眼で片腕が回内・下降するのはBarré徴候陽性で、錐体路の障害を示す。
手のひらを上に向けて両腕を肩の高さで前に伸ばし、閉眼してもらう。錐体路(皮質脊髄路)に障害がある側の上肢は、回内しながらゆっくり下がる。これを上肢のBarré(バレー)徴候陽性といい、目立たない程度の運動麻痺を見つける所見である。 写真でも閉眼後に左腕だけが回内して下がっており、錐体路の障害が疑われる。前腕を回外させる筋や、腕を伸ばして保つ筋の力が先に落ちるために起こる。
他の選択肢は確かめ方が違う。位置覚(深部感覚)はRomberg(ロンベルグ)徴候など、小脳機能は指鼻試験などの協調運動の検査、関節可動域は関節を動かして測る。
錐体路とは
大脳から脊髄へ、体を動かす命令を伝える神経の通り道。ここが傷むと反対側の手足に麻痺が出る。
回内とは
前腕をねじって手のひらを下に向ける動き。反対に手のひらを上に向ける動きを回外という。
- 1
位置覚の異常不正解
位置覚(深部感覚)の障害では、閉眼すると腕の位置が分からなくなり、上や外へさまようように動く。写真のように回内しながら下がるのは錐体路の障害の所見である。
- 2
錐体路の障害正解
閉眼で上肢が回内しながら下降するのはバレー徴候陽性で、錐体路障害(運動麻痺)を示す。
- 3
小脳機能の異常不正解
小脳機能の異常は、指鼻試験でのぎこちなさや企図振戦、測定障害として現れる。閉眼して腕が回内しながら下がる所見とは異なる。
- 4
関節可動域の障害不正解
関節可動域に障害があれば、写真の開眼時のように両腕を肩の高さまで水平に上げること自体ができない。ここでは開眼時に両腕がそろっており、可動域は保たれている。
📚 国試でよく狙われるところ
麻痺の問題は、上肢と下肢の検査法や、上位・下位どちらの運動ニューロンの障害かを入れ替えて問われる。名前と中身を対にして覚えよう。
- 下肢ではMingazzini(ミンガッツィーニ)徴候(仰臥位で股関節と膝を90度に曲げて保持させる)で同じように軽い麻痺をみる。
- 上位運動ニューロン(錐体路)障害=痙性麻痺・腱反射亢進・Babinski(バビンスキー)反射陽性、筋萎縮は目立たない。
- 下位運動ニューロン障害=弛緩性麻痺・腱反射低下〜消失・筋萎縮・線維束性収縮。
- 筋力は徒手筋力テスト〈MMT〉で0〜5の6段階で評価する。
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について