第110回 看護師国家試験 午後 問76 解説
📝 問題
閉塞性動脈硬化症〈ASO〉について正しいのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 閉塞性動脈硬化症〈ASO〉は粥状硬化(アテローム硬化)が原因である。
閉塞性動脈硬化症(ASO〈エーエスオー〉)は、動脈の粥状硬化(アテローム性動脈硬化)により四肢とくに下肢の動脈が狭窄・閉塞し、末梢の血流が減少する疾患である。 糖尿病・脂質異常症・高血圧・喫煙が危険因子となる。
好発部位は下肢の動脈(大腿・膝窩動脈など)で橈骨動脈ではない。末梢血流量は増加ではなく減少する。特徴的症状の間欠性跛行は歩行で下肢痛が出現し、休息で改善するもので、歩行によって痛みは悪化する。中小動脈の非化膿性炎症で生じるのはバージャー病(閉塞性血栓血管炎)であり、ASOとは病態が異なる。
粥状硬化とは
動脈の壁の内側にコレステロールがたまっておかゆ状のかたまりをつくり、血管が狭く硬くなること。
間欠性跛行とは
しばらく歩くとふくらはぎなどが痛くなり、休むとまた歩けるようになる症状。下肢の血流が足りないしるしである。
- 1
橈骨動脈に好発する。不正解
好発部位は下肢の動脈であり、橈骨動脈ではない。
- 2
粥状硬化が原因である。正解
ASOは動脈の粥状硬化(アテローム硬化)を原因とする。
- 3
末梢血流量が増加する。不正解
動脈の狭窄・閉塞により末梢血流量は減少する。
- 4
歩行によって痛みが改善する。不正解
間欠性跛行では歩行により下肢痛が出現し、休息で改善する。歩行で痛みは悪化する。
- 5
中小動脈の非化膿性炎症で生じる。不正解
中小動脈の非化膿性炎症で生じるのはバージャー病であり、ASOとは異なる。
📚 混同しやすいので注意
下肢の動脈が詰まる病気は、閉塞性動脈硬化症とバージャー病のどちらかを選ばせる形で問われる。原因・好発年齢・好発部位の3点を対にして覚えよう。 違いの軸は原因で、閉塞性動脈硬化症は太い動脈の粥状硬化、バージャー病は中小動脈の炎症である。
- 重症度はFontaine(フォンテイン)分類(Ⅰ度=冷感・しびれ、Ⅱ度=間欠性跛行、Ⅲ度=安静時疼痛、Ⅳ度=潰瘍・壊死)
- 足関節上腕血圧比(ABI)0.9以下で下肢動脈の狭窄・閉塞を疑う
- 指導=禁煙、フットケア(外傷・感染の予防)、保温(低温熱傷を避ける)、運動療法
| 項目 | ASO(閉塞性動脈硬化症) | バージャー病(TAO) |
|---|---|---|
| 原因 | 粥状硬化(アテローム硬化) | 中小動脈の非化膿性炎症 |
| 好発 | 50歳以上、腸骨〜大腿・膝窩動脈など比較的太い動脈 | 若年男性、四肢末梢の中小動脈 |
| 危険因子 | 糖尿病・脂質異常症・高血圧・喫煙 | 喫煙(禁煙が治療の基本) |
| 合併 | 虚血性心疾患・脳血管障害を合併しやすい | 遊走性静脈炎を伴うことがある |
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について