第110回 看護師国家試験 午前 問95 解説

状況設定成人看護学✔ 監修済み

📝 問題

A さん(26歳、男性)は急性白血病を疑われ緊急入院した。Hb 5.1 g/dL、白血球44,960/μL、血小板1.5万/μL。A さんは急性骨髄性白血病と診断された。化学療法によって寛解し、造血幹細胞移植を行う方針となった。 A さんの造血幹細胞移植で正しいのはどれか。

✅ 正解

3

💡 解説

✅ 造血幹細胞移植では、大量化学療法や放射線照射による移植前処置が必要である。

同種造血幹細胞移植では、患者自身の白血病細胞を可能な限り死滅させ、ドナー細胞の生着を促す免疫抑制を目的として、大量化学療法や全身放射線照射による移植前処置(前処置・コンディショニング)が不可欠である。

他の選択肢は誤りである。ドナーはHLA(ヒト白血球抗原)の適合が重視され、性別の一致は求められない。移植後は生着の確認と合併症(移植片対宿主病〈GVHD〉、感染症など)の管理に数週間以上を要する。造血幹細胞は末梢静脈や中心静脈から点滴で輸注するため、行う場所は手術室ではなく無菌室である。

HLA〈エイチエルエー〉とは

白血球がもつ型で、人によって組み合わせが違う。型の合わない相手の細胞を入れると、たがいに攻撃し合う反応が起こる。

生着とは

入れた幹細胞が患者の骨髄に根づき、自分の力で血球を作り始めること。ここに至るまでは感染しやすい期間が続く。

  • 1

    A さんと骨髄提供者の性別が一致している必要がある。不正解

    ドナー選択はHLA適合が重要で、性別の一致は必須ではない。

  • 2

    移植後2週間で退院できる。不正解

    生着や合併症管理のため入院は長期に及び、2週間での退院は困難。

  • 3

    移植前処置が必要である。正解

    大量化学療法・放射線照射による移植前処置が生着と抗腫瘍効果に不可欠。

  • 4

    手術室で行う。不正解

    細胞は点滴で輸注され、手術室ではなく無菌室(病室)で行われる。

📚 混同しやすいので注意

造血幹細胞移植は、幹細胞をどこから採るかで名前が変わり、それぞれの利点と欠点が問われる。移植片対宿主病が起こるのは他人の細胞を入れたときだけ、と押さえよう。 移植片対宿主病〈GVHD〉は、ドナーのリンパ球が患者の組織を攻撃する反応で、皮膚(皮疹)・肝(黄疸・肝機能異常)・消化管(下痢)が標的となる。 予防に免疫抑制薬を用い、生着(好中球500/μL以上の回復)まで無菌室で管理する。

造血幹細胞移植の種類
種類幹細胞の由来特徴
自家移植患者自身GVHDは起こらないが、腫瘍細胞の混入・再発の危険がある
同種骨髄移植ドナーの腸骨から採取した骨髄液HLAの適合が必要。血縁者または骨髄バンクから
同種末梢血幹細胞移植G-CSF投与後のドナーの末梢血生着は早いが慢性GVHDが多い
臍帯血移植出生時の臍帯血HLA不一致の許容度が高く迅速に入手できるが、生着が遅い

出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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