第110回 看護師国家試験 午前 問77 解説
📝 問題
褐色細胞腫でみられるのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 褐色細胞腫では高血糖がみられる
褐色細胞腫は副腎髄質などのクロム親和性細胞から発生し、カテコールアミン(アドレナリン・ノルアドレナリン)を過剰に分泌する腫瘍である。カテコールアミンは肝でのグリコーゲン分解・糖新生を促し、インスリン分泌を抑制するため高血糖を生じる。 褐色細胞腫では高血圧(発作性)・高血糖・代謝亢進・頭痛・発汗・動悸などがみられる(いわゆる5H)。
他の選択肢はクッシング症候群(副腎皮質からのコルチゾール過剰)の特徴である。中心性肥満、満月様顔貌、低カリウム血症、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の産生亢進はいずれもクッシング症候群でみられ、副腎髄質由来の褐色細胞腫の特徴ではない。
国試では副腎の疾患(髄質=褐色細胞腫、皮質=クッシング症候群・原発性アルドステロン症・アジソン病)の区別が頻出である。「褐色細胞腫=カテコールアミン過剰=高血圧発作・高血糖・代謝亢進」と押さえておくとよい。
クロム親和性細胞とは
副腎髄質などにあり、カテコールアミンをつくって蓄えている細胞。染色液で褐色に染まることが「褐色細胞腫」という名前の由来である。
満月様顔貌とは
顔に脂肪がつき、丸く赤みを帯びた顔つきになった状態。コルチゾールが過剰なときにみられる。
- 1
高血糖正解
カテコールアミン過剰により糖新生亢進・インスリン分泌抑制が起こり高血糖を生じる。
- 2
中心性肥満不正解
中心性肥満はクッシング症候群の特徴であり、褐色細胞腫の所見ではない。
- 3
満月様顔貌不正解
満月様顔貌はクッシング症候群の特徴である。
- 4
血清カリウム濃度の低下不正解
血清カリウム低下はクッシング症候群や原発性アルドステロン症でみられる。
- 5
副腎皮質ホルモンの産生の亢進不正解
副腎皮質ホルモンの産生亢進はクッシング症候群であり、髄質由来の褐色細胞腫とは異なる。
📚 ここも一緒におさえておこう
副腎の疾患は、髄質と皮質のどちらのホルモンの異常かで所見が分かれる。まず髄質か皮質かで仕分けて覚えよう。 褐色細胞腫の5Hは、Hypertension(高血圧)・Headache(頭痛)・Hyperhidrosis(発汗過多)・Hypermetabolism(代謝亢進)・Hyperglycemia(高血糖)を指す。 診断は血中・尿中カテコールアミンと代謝産物(メタネフリン、VMA)の測定による。 手術前はα遮断薬で血圧を管理してからβ遮断薬を用いる。
| 部位 | 疾患 | ホルモンの異常 | 主な所見 |
|---|---|---|---|
| 皮質 | Cushing症候群 | コルチゾール過剰 | 中心性肥満、満月様顔貌、水牛様肩、皮膚線条、高血糖、低カリウム血症、骨粗鬆症 |
| 皮質 | 原発性アルドステロン症 | アルドステロン過剰 | 高血圧、低カリウム血症、代謝性アルカローシス |
| 皮質 | Addison病 | コルチゾール・アルドステロン不足 | 色素沈着、低血圧、低血糖、低ナトリウム血症、高カリウム血症、全身倦怠感 |
| 髄質 | 褐色細胞腫 | カテコールアミン過剰 | 発作性高血圧、頭痛、発汗、動悸、高血糖、代謝亢進 |
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について