第110回 看護師国家試験 午前 問48 解説
📝 問題
A さん(80歳、男性)は、1人暮らし。高血圧症で内服治療をしているが健康状態や認知機能に問題はなく、日常生活動作〈ADL〉は自立している。毎朝30分の散歩と買い物を日課とし、週1回は老人クラブでゲートボールをしている。A さんは受診の際に看護師に「最近、昼食後に居眠りをしてしまう。今は大丈夫だが、このままだと夜眠れなくなるのではないか」と話した。A さんへの対応で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 30分程度の昼寝は夜の睡眠に影響しないと伝える。
Aさんは健康状態・認知機能に問題がなく、日常生活動作〈ADL〉も自立している活動的な高齢者で、昼食後の短時間の居眠りを心配している。高齢者では日中の短い昼寝(おおむね30分程度まで)は生理的なものであり、夜間睡眠に悪影響を及ぼさず、むしろ午後の眠気の解消に役立つとされる。 「30分程度の昼寝は夜の睡眠に影響はない」と伝えて安心させる対応が最も適切である。
他の選択肢はAさんの心配に答えていない。昼食後の散歩を促すことや老人クラブの参加回数を増やすことは、活動を増やすだけで、昼の居眠りと夜間不眠への不安に応えていない。 健康上の問題がない生理的な居眠りに主治医への相談を勧めるのは過剰であり、まず正しい知識を伝えて不安を軽くするのが望ましい。
ただし、長時間(1時間以上)の昼寝や夕方遅い時間の昼寝は夜間睡眠を妨げうるため、あくまで短時間・早めの昼寝が推奨される点は補足として押さえておく。
ADL〈エーディーエル〉とは
食事・排泄・入浴・着替えなど、毎日の暮らしに欠かせない基本の動作。どこまで自分でできるかで自立の度合いをみる。
- 1
昼食後にも散歩を促す。不正解
昼食後の散歩はAさんの不安への直接的な回答ではなく、最適とはいえない。
- 2
主治医に相談するよう勧める。不正解
健康上問題のない生理的な居眠りに主治医相談を勧めるのは過剰である。
- 3
老人クラブの参加回数を増やすよう勧める。不正解
老人クラブの回数を増やしても活動が増えるだけで、Aさんの心配への対応にはならない。
- 4
30分程度の昼寝は夜の睡眠に影響はないと伝える。正解
30分程度の短い昼寝は夜間睡眠に影響しないと伝え、不安を軽減する。
📚 ここも一緒におさえておこう
高齢者の睡眠は、変化そのものより「どこまでが正常か」を問われる。加齢による変化は病気ではない、と押さえよう。 加齢に伴い、入眠までの時間が延長し、中途覚醒が増加、深いノンレム睡眠が減少、睡眠位相が前進(早寝早起き)するという変化がみられる。
- 昼寝は30分以内にとどめ、午後の早い時間にとると夜間睡眠に影響しにくい。
- 睡眠衛生の基本は、朝の光を浴びる、日中に活動する、就寝前のカフェイン・アルコール・喫煙を避ける、就寝時刻にこだわりすぎない、である。
- 不眠の訴えに安易に睡眠薬を用いると転倒やせん妄のリスクが高まる。まず生活リズムや不安の背景を評価する。
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について