第110回 看護師国家試験 午前 問113 解説
📝 問題
A さん(19歳、男性)は注意欠如・多動性障害〈ADHD〉と診断された。診察後、A さんの両親は「親としてどうしたら良かったのでしょうか、私たちの育て方に問題があったのでしょうか」と外来看護師に話した。 このときのA さんの両親への対応として適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 育て方が原因ではないことを伝え、両親の自責感に配慮する。
注意欠如・多動症(ADHD〈エーディーエイチディー〉。かつては注意欠如・多動性障害とよばれた)は生まれつきの脳機能の発達特性による障害であり、親の育て方やしつけが原因で生じるものではない。 「育て方に問題があったのか」と自責の念を抱く両親には、「ご両親の育て方が原因ではないと思いますよ」と伝え、その思いを和らげることが適切である。
他の選択肢は、いずれも両親の自責感を強めるか、原因を単純化してしまう言葉である。 看護師は正しい疾患の理解を伝えながら、両親の心情に共感的に寄り添う姿勢が求められる。
ADHD〈エーディーエイチディー〉とは
不注意・多動性・衝動性を特徴とする、生まれつきの脳のはたらきの偏り。診断は幼い頃からの様子(生育歴)の聞き取りが決め手になる。
- 1
「A さんは育てにくいお子さんでしたね」不正解
「育てにくかった」は負担を肯定し、両親の自責感を強めかねない。
- 2
「職場の環境が悪かったことが原因です」不正解
職場環境を原因と断定するのは不正確で、問題を単純化してしまう。
- 3
「ご両親の育て方が原因ではないと思いますよ」正解
ADHDは発達特性で育て方が原因ではないと伝え、自責感を和らげる。
- 4
「もっと早くA さんの問題に気が付けばよかったですね」不正解
「早く気づけばよかった」は過去を悔いさせ両親を追い詰める。
📚 ここも一緒におさえておこう
家族への対応は、どの言葉かけが適切かを選ばせる形で問われる。責めない・正しい情報を伝える・支援先につなぐ、の3つで考えよう。 発達障害の診断を受けた家族は、戸惑い・自責・喪失感を経験する。看護師は正しい情報提供と情緒的な支援を並行して行う。
- 原因を家族に帰さない。「育て方が原因ではない」と明確に伝えることが罪責感の軽減につながる
- 特性を強みとして捉え直す視点(リフレーミング)を家族と共有する
- 社会資源=発達障害者支援センター、精神保健福祉センター、障害者就業・生活支援センター、自助グループ・家族会
- 精神障害者保健福祉手帳や自立支援医療(精神通院医療)の対象となる場合がある
- 職場では産業医・産業保健スタッフと連携し、合理的配慮(障害者差別解消法・障害者雇用促進法)の申し出を支援する
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について