第109回 看護師国家試験 午前 問65 解説
📝 問題
平成16年(2004年)に示された精神保健医療福祉の改革ビジョンの内容で正しいのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 精神保健医療福祉の改革ビジョンは「地域生活支援の強化」を掲げた。
平成16年(2004年)に厚生労働省が示した「精神保健医療福祉の改革ビジョン」は、「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本理念を掲げた。 柱は①国民の理解の深化、②精神医療の改革、③地域生活支援の強化の3つである。
このビジョンは、受け入れ条件が整えば退院可能な入院患者(いわゆる社会的入院)の解消を掲げた点でも重要である。 その数は約7万人とされ、10年間での解消を目標とした。 任意入院制度や医療保護入院、精神障害者の定義などは、昭和62年(1987年)の精神保健法や精神保健福祉法の制定・改正で定められたもので、この改革ビジョンの内容ではない。
医療保護入院とは
本人の同意が得られなくても、精神保健指定医の診察と家族等の同意によって行う入院。本人の同意による入院は任意入院という。
- 1
地域生活支援の強化正解
「入院医療中心から地域生活中心へ」を理念とし、地域生活支援の強化を柱とした。
- 2
任意入院制度の新設不正解
任意入院制度は昭和62年の精神保健法で新設されたもので、本ビジョンの内容ではない。
- 3
医療保護入院の明確化不正解
医療保護入院の規定は精神保健福祉法等によるもので、改革ビジョンの主眼ではない。
- 4
精神障害者の定義の見直し不正解
精神障害者の定義の見直しは法改正で行われるもので、本ビジョンの内容ではない。
📚 ここも一緒におさえておこう
精神保健医療福祉の改革ビジョン(平成16年)の理念「入院医療中心から地域生活中心へ」は、その後の障害者自立支援法・障害者総合支援法による地域生活支援や、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムへとつながっている。
- 昭和39年(1964年)のライシャワー事件を契機に精神衛生法が改正され、保健所が地域精神保健の第一線機関となった。
- 昭和59年(1984年)の宇都宮病院事件を契機に、人権擁護を軸とする精神保健法が制定された。
- 日本は諸外国に比べ精神病床数が多く平均在院日数が長いことが課題とされ、退院支援・地域移行支援が進められている。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 昭和25年(1950年) | 精神衛生法(私宅監置の廃止) |
| 昭和62年(1987年) | 精神保健法(任意入院・精神保健指定医・精神医療審査会の創設) |
| 平成7年(1995年) | 精神保健福祉法(精神障害者保健福祉手帳の創設) |
| 平成16年(2004年) | 精神保健医療福祉の改革ビジョン(入院医療中心から地域生活中心へ) |
| 平成25年(2013年)改正 | 保護者制度の廃止、医療保護入院は家族等の同意へ |
令和4年(2022年)の改正では、医療保護入院に期間の定めと更新制が設けられ、家族等が意思表示をしない場合は市町村長の同意で行えるようになった。入院者訪問支援事業も創設された(令和6年施行)。
参考: 厚生労働省「精神保健医療福祉の改革ビジョン」
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について