第109回 看護師国家試験 午前 問101 解説
📝 問題
血管性認知症でパーキンソニズムのある A さん(80歳、男性)は、妻の入院に伴い短期入所療養介護を利用中。入所初日の夜、A さんはトイレに行った後、入所者 B さんの部屋に入ったという夜勤者からの申し送りがあった。 A さんへの対応で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 他者の部屋に入るAさんには、自室に認識しやすい目印を掲示するのが適切。
認知機能が低下した高齢者が入所直後に自室を間違えるのは、慣れない環境と見当識の低下が重なるためである。 本人が分かる目印(名前・写真・なじみの物など)を自室の前に掲示し、自分の部屋を自分で見つけられるようにする環境調整が最も適切である。 行動を制限せずに混乱を減らせる。
他の3つは、部屋を間違えるという課題そのものに届いていない。 夜間に2時間ごと起こすのは睡眠を削るだけで、尿器はトイレへ行く行動を取り上げてしまう。部屋の入れ替えは、Aさんが自室を見分けられないという原因を残したまま、ほかの入所者にも影響する。
- 1
A さんの部屋の前に A さんが認識しやすい目印を掲示する。正解
認識しやすい目印を自室前に掲示することで、本人が自分の部屋を見つけやすくなり混乱を減らせる。
- 2
夜間は2時間ごとに A さんを起こしてトイレに誘導する。不正解
夜間2時間ごとの起床は睡眠を妨げ負担が大きく、部屋の取り違えの解決にならない。
- 3
夜間は尿器を使用することを A さんに勧める。不正解
尿器の使用はトイレへ行く行動を制限するもので、課題の本質的解決にならない。
- 4
A さんと B さんの部屋を入れ替える。不正解
部屋を入れ替えても自室を認識できない根本問題は解決せず、他者にも影響する。
📚 ここも一緒におさえておこう
入所・入院など生活の場が変わることで心身の不調をきたすことをリロケーションダメージという。 認知機能が低下している高齢者では混乱・不穏・せん妄の誘因になるため、環境を本人に合わせて分かりやすくすることが第一の対応になる。
- 認知症ケアの基本はなじみの物・なじみの関係・なじみの生活リズムを保つこと。自宅で使っていた物を持ち込むのも有効。
- 見当識を支える工夫として、大きな時計・カレンダー・トイレや自室の目印、十分な明るさの確保がある。
- 誤りを正すより、本人の言動の背景にある思いを受け止めて関わる(バリデーション)ほうが混乱は収まりやすい。
- 夜間に無理に起こしてトイレへ誘導することは睡眠の分断を招き、かえって不穏やせん妄を強めることがある。
| サービス | 内容 |
|---|---|
| 短期入所生活介護 | 介護老人福祉施設等に短期入所し、入浴・排泄・食事等の介護を受ける |
| 短期入所療養介護 | 介護老人保健施設・介護医療院・病院等に短期入所し、医学的管理のもとで看護・介護・リハビリを受ける |
| 共通の目的 | 利用者の心身機能の維持と、介護者の負担軽減(レスパイトケア) |
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について