第108回 看護師国家試験 午後 問119 解説
📝 問題
Aさん(55歳、男性、自営業)は、父親(78歳)と2人暮らし。突然コップ1杯程度の吐血があり倒れ、救急病院に搬送された。 Aさんは緊急入院となり、医師から「少なくとも2週間程度の入院が必要です」と説明を受けた。立ち会っていた看護師長にAさんは「最近、父の物忘れがひどくて、1人でどこかに行ってしまったこともあるので、家に帰せません。何とかなりませんか」と訴えた。父親は要介護認定を受けているが、現在は介護保険サービスを利用せず、Aさんが介護をしながら生活していた。 Aさんの父親に対する看護師長の対応で適切なのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 認知症が疑われる父親の介護を地域で支えるため、まず地域包括支援センターに相談するのが適切である。
Aさんの入院により、要介護認定を受けながら介護保険サービス未利用で1人になる父親(物忘れがひどく、徘徊のおそれがある)の生活を支える必要が生じた。 地域包括支援センターは、高齢者の介護・医療・保健・福祉を総合的に支援する地域の相談窓口で、介護保険サービスの利用調整や見守り体制づくり、必要な社会資源へのつなぎを担う。 父親の在宅生活を地域で支えるため、まず地域包括支援センターに相談する対応が適切である。
地域包括ケアの中核である地域包括支援センターの役割(総合相談・権利擁護・介護予防ケアマネジメント・包括的支援)は国試頻出である。
他の選択肢は、この段階で選ぶものではない。 父親に入院を要する病状はなく、介護の代わりに病床を使うことはできない。 精神保健福祉センターは心の健康についての専門機関、特別養護老人ホームは在宅生活が続けられなくなってから検討する場である。
- 1
自院への入院を調整する。不正解
父親に入院を要する医学的適応はなく、介護の受け皿として自院への入院を調整するのは適切でない。
- 2
地域包括支援センターに相談する。正解
地域包括支援センターは高齢者の総合相談窓口で、介護保険サービス調整や見守り体制づくりにつなげられるため適切である。
- 3
精神保健福祉センターに相談する。不正解
精神保健福祉センターは精神保健の専門機関で、認知症高齢者の生活支援の第一の相談先ではない。
- 4
特別養護老人ホームに入所相談する。不正解
まず在宅での支援体制を検討すべき段階であり、特別養護老人ホームへの入所相談は早計である。
📚 ここも一緒におさえておこう
認知症が疑われる高齢者を地域で支える資源は、相談・訪問・居場所の3方向で押さえる。
- 判断能力が低下した高齢者の財産や契約を守る制度が成年後見制度
- 介護者の休養には短期入所(ショートステイ)や通所サービスを組み合わせる
| 資源 | 役割 |
|---|---|
| 地域包括支援センター | 高齢者に関する総合相談窓口。サービス調整、権利擁護 |
| 認知症初期集中支援チーム | 医療・介護の専門職が訪問し、初期の支援を集中的に行う |
| 認知症地域支援推進員 | 医療・介護・地域資源をつなぐ調整役 |
| 認知症カフェ | 本人・家族・地域住民・専門職が集い交流する場 |
| 認知症サポーター | 養成講座を受け、認知症の人を地域で見守る住民 |
参考: 厚生労働省「地域包括ケアシステムの構築について」
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について