第108回 看護師国家試験 午前 問29 解説
📝 問題
Aさん(45歳、男性)は、10年ぶりに会った友人から顔貌の変化を指摘された。顔貌変化を図に示す。 Aさんの顔貌変化を引き起こしたホルモンはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 顔貌の変化を引き起こしたホルモンは、成長ホルモンである。
成人(骨端線閉鎖後)で成長ホルモンが過剰に分泌されると、先端巨大症(末端肥大症)を生じる。 眉弓・頬骨・下顎の突出、鼻・口唇の肥大、手足の先端の肥大が、何年もかけてゆっくり進む。
設問の「10年ぶりに会った友人から顔貌の変化を指摘された」という緩徐な経過は、先端巨大症に典型的である。毎日会う人ほど変化に気づきにくい。
原因の多くは、成長ホルモンを過剰に分泌する下垂体腺腫である。
骨端線とは
成長期の骨の両端にある軟骨の層。ここで骨が伸び、成長が終わると閉じる。
- 1
成長ホルモン正解
成人での成長ホルモン過剰は先端巨大症を起こし、顔貌や手足の先端がゆっくり肥大する。
- 2
副甲状腺ホルモン不正解
副甲状腺ホルモンの異常は主にカルシウム代謝・骨に影響し、本問の顔貌変化の主因ではない。
- 3
副腎皮質ホルモン不正解
副腎皮質ホルモン過剰はクッシング症候群(満月様顔貌)を起こすが、経過や所見が本問とは異なる。
- 4
甲状腺刺激ホルモン不正解
甲状腺刺激ホルモンが過剰になると甲状腺の機能が亢進し、動悸や体重減少が起こる。顔貌がゆっくり変わる病態ではない。
📚 混同しやすいので注意
成長ホルモンが過剰になると、骨端線が閉じる前なら下垂体性巨人症、閉じたあとなら先端巨大症になる。同じホルモンでも、いつ過剰になったかで病名が変わる点が問われる。
- 先端巨大症では手足の増大(指輪や靴のサイズが合わなくなる)、巨大舌、いびき・睡眠時無呼吸、多汗がみられる。
- 合併症として耐糖能異常・糖尿病、高血圧、心肥大、大腸ポリープがある。
- 診断にはIGF-I(ソマトメジンC)の高値と、75gの経口ブドウ糖負荷試験〈OGTT〉で成長ホルモンが抑制されないことを用いる。
- 下垂体腺腫が大きいと視交叉を圧迫し、両耳側半盲をきたす。
| ホルモン | 過剰で生じる病態 |
|---|---|
| 成長ホルモン〈GH〉 | 先端巨大症(成人)、下垂体性巨人症(小児) |
| 副腎皮質刺激ホルモン〈ACTH〉 | Cushing〈クッシング〉病(満月様顔貌・中心性肥満・皮膚線条) |
| プロラクチン〈PRL〉 | 高プロラクチン血症(乳汁漏出・無月経) |
| 甲状腺刺激ホルモン〈TSH〉 | TSH産生腺腫(甲状腺機能亢進) |
| 抗利尿ホルモン〈ADH〉 | 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群〈SIADH〉(低ナトリウム血症) |
参考: 標準的な内分泌学教科書(先端巨大症・成長ホルモン)
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について