第108回 看護師国家試験 午前 問116 解説
📝 問題
Aさん(75歳、女性)は、夫とは3年前に死別し、1人暮らし。喫煙歴があり、5年前に慢性閉塞性肺疾患と診断された。長女は隣県に住んでおり、時々様子を見に来ている。Aさんは受診を継続しながら、ほぼ自立して生活していた。今回、咳・痰の症状に加え呼吸困難が増強したため入院となった。入院後は酸素療法(鼻カニューレ:2L/分)と薬物療法を受け、症状が改善し、在宅酸素療法を導入し退院することになった。Aさんは初めて要介護認定を受けたところ、要支援2であった。 退院後の生活での問題点の確認のため、カンファレンスを開催することになった。Aさんは、自宅での療養を強く希望しており、2L/分の酸素投与下で呼吸状態や日常生活動作〈ADL〉については入院前と同程度まで回復してきているが、まだ退院後の買い物や洗濯などは負荷が強く、支援が必要と判断された。また、Aさんは、呼吸困難の再発について不安を訴えている。 カンファレンスの検討内容で優先度が高いのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 呼吸困難の再発に不安を抱える在宅COPD患者では、急性増悪時の対応方法の確認が優先度が高い。
慢性閉塞性肺疾患(COPD〈シーオーピーディー〉)は急性増悪(感染や環境の変化で呼吸状態が急に悪くなること)を繰り返しやすく、増悪のたびに生命予後と日常生活動作が大きく損なわれる。
Aさんは呼吸困難の再発に不安を訴えている。 どんな症状のときに・誰に・どう連絡して対応するかをあらかじめ決めて共有しておくことが、在宅療養を安全に続けるうえで最も優先度が高い。 早期対応ができるようになり、不安の軽減にもつながる。
残る3つは、命や安全に直結しない。 電動ベッドの導入は暮らしやすさを高めるが、急変への備えより先には来ない。 娘の居宅への転居は、在宅療養を強く希望している本人の意向に沿わない。 介護予防短期入所生活介護の利用も、増悪時の対応が決まってから検討する。
- 1
電動ベッドの導入不正解
電動ベッドの導入は生活の快適さに資するが、呼吸困難再発への不安に応える最優先の検討課題ではない。
- 2
娘の居宅への転居不正解
娘宅への転居は本人が在宅療養を強く希望しており、優先すべき検討事項ではない。
- 3
急性増悪時の対応方法正解
COPDは急性増悪を繰り返しやすく、増悪時の連絡・対応方法の確認は安全確保に直結するため優先度が高い。
- 4
介護予防短期入所生活介護の利用不正解
介護予防短期入所生活介護の利用は選択肢の一つだが、まず優先すべきは急性増悪時の対応方法の確認である。
📚 国試でよく狙われるところ
急性増悪は、徴候・引き金・備えの3点セットで問われる。徴候を覚えて、誰にいつ連絡するかまでを1組にしよう。 主な徴候は息切れ・咳・痰の増加と痰の膿性化で、多くは気道感染が引き金になる。増悪は生命予後を悪化させるため、予防と早期対応が要になる。
- 予防の柱は禁煙、インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの接種、呼吸リハビリテーション、栄養管理
- 受診の目安(発熱、痰の色の変化、安静時の息切れ、経皮的動脈血酸素飽和度の低下、意識の変化)と連絡先を紙に書いて共有しておく
- 在宅療養では、本人・家族・訪問看護・訪問介護・ケアマネジャー・かかりつけ医が同じ対応手順を共有することが安全につながる
参考: 日本呼吸器学会『COPD診断と治療のためのガイドライン』/医療情報科学研究所編『病気がみえる vol.4 呼吸器』
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について