第108回 看護師国家試験 午前 問115 解説
📝 問題
Aさん(75歳、女性)は、夫とは3年前に死別し、1人暮らし。喫煙歴があり、5年前に慢性閉塞性肺疾患と診断された。長女は隣県に住んでおり、時々様子を見に来ている。Aさんは受診を継続しながら、ほぼ自立して生活していた。今回、咳・痰の症状に加え呼吸困難が増強したため入院となった。入院後は酸素療法(鼻カニューレ:2L/分)と薬物療法を受け、症状が改善し、在宅酸素療法を導入し退院することになった。Aさんは初めて要介護認定を受けたところ、要支援2であった。 病棟看護師がAさんに行う在宅酸素療法に関する指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
1・2
💡 解説
✅ 在宅酸素療法では火気管理として電磁調理器の使用を勧め、外出時はデマンドバルブの作動を確認する。
在宅酸素療法(HOT〈ホット〉)でいちばん大切な安全管理は火気厳禁である。 酸素は支燃性(燃焼を助ける性質)で、ガスコンロなど裸火のそばで使うと引火・熱傷・火災の危険が大きい。 そのため調理には、火を使わない電磁調理器(IH)を勧める。
外出時に携帯用酸素ボンベで使うデマンドバルブ(呼吸同調式装置)は、吸気に合わせて酸素を送り、消費を抑える装置である。 出かける前に正しく動くかを確かめる。
残る3つは、安全か制度の理解を誤っている。 機器の給付は主に医療保険からで、介護保険からではない。 酸素濃縮器は熱源と直射日光を避け、風通しのよい場所に置く。 息苦しいときも流量は自分で上げず、指示された流量のまま医療者に連絡する。
CO2ナルコーシスとは
二酸化炭素がたまって意識がもうろうとし、自発呼吸が弱まる状態。慢性閉塞性肺疾患の人に高濃度の酸素を与えると起こることがある。
- 1
電磁調理器の使用を勧める。正解
酸素は支燃性で火気は厳禁のため、裸火を使わない電磁調理器(IH)の使用を勧めるのは適切な安全指導である。
- 2
外出時にデマンドバルブの作動を確認する。正解
外出時に用いるデマンドバルブ(呼吸同調式装置)が正しく作動するか確認するのは適切な指導である。
- 3
在宅酸素療法の機材が介護保険で給付される。不正解
在宅酸素療法の機材は主に医療保険で給付されるもので、介護保険で給付されるという説明は誤りである。
- 4
酸素濃縮器は日当たりのよいところに設置する。不正解
酸素濃縮器は火気・熱源を避け直射日光の当たらない場所に設置すべきで、日当たりのよい場所への設置は不適切である。
- 5
呼吸困難時にAさんの判断で酸素流量を変更してよい。不正解
酸素流量は医師の指示に従い、呼吸困難時に患者の自己判断で変更するのはCO2ナルコーシス等の危険があり不適切である。
📚 国試でよく狙われるところ
在宅酸素療法は、火気の管理と酸素流量の扱いが繰り返し問われる。「火から離す」「流量は指示どおり」の2つを軸に覚えよう。 実際に最も多い重大事故も火気によるもので、喫煙が原因の火災・熱傷が繰り返し報告されている。
- 酸素濃縮器や携帯用ボンベは火気から2m以上離し、調理は電磁調理器(IH)を勧める
- 本人だけでなく同居者も禁煙する。喫煙は火災と熱傷の最大の原因になる
- 酸素濃縮器は壁から少し離し、直射日光・熱源を避けた風通しのよい場所に設置する
- 酸素流量は医師の指示どおりに使う。慢性閉塞性肺疾患では高濃度酸素でCO2ナルコーシスを起こすことがある
- 外出時は携帯用酸素ボンベと呼吸同調式装置(デマンドバルブ)を用い、残量と作動を出発前に確認する
- 在宅酸素療法の機器は医療保険で給付され、介護保険の給付ではない
参考: 日本呼吸器学会『酸素療法マニュアル』/医療情報科学研究所編『病気がみえる vol.4 呼吸器』
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について