第108回 看護師国家試験 午前 問105 解説

状況設定小児看護学✔ 監修済み

📝 問題

Aちゃん(1歳6か月、男児)は、5日前から発熱し、自宅近くのかかりつけ医に通院していたが解熱せず、昨日から眼球結膜の充血、口唇の発赤と亀裂が出現したため入院した。診察では、体幹の発疹と手足の浮腫もあり、川崎病および脱水症と診断された。Aちゃんに対し、点滴静脈内注射による脱水症の治療が開始され、左手掌から前腕までシーネで固定された。Aちゃんは機嫌が悪く、両手をバタバタと上下に動かしながら泣いている。左手背の留置針刺入部には、腫脹や発赤はない。 Aちゃんの心臓超音波検査結果では、冠状動脈瘤の所見はなかった。Aちゃんは、全身状態が安定したため退院することになった。 看護師からAちゃんの家族への退院指導で適切なのはどれか。

✅ 正解

2

💡 解説

✅ 川崎病では退院後も冠動脈病変の経過観察のため、定期受診が必要である。

川崎病は全身の血管炎で、最大の問題は冠動脈瘤などの心血管後遺症である。 急性期に冠動脈瘤がなくても、その後の経過で病変が現れたり変わったりすることがある。 退院後も心臓超音波検査などによる定期的な経過観察が欠かせず、定期受診が必要になる。

他の3つは、この子に当てはまる制限ではない。 冠動脈瘤の所見がないため運動や水分を一律に制限する理由はなく、保育所への通所を2週間止める根拠もない。 運動制限や抗血小板療法が要るかどうかは、冠動脈病変の有無で決まる。

  • 1

    運動の制限がある。不正解

    冠動脈瘤の所見がない本例では一律の運動制限は必要でなく、運動制限の要否は冠動脈病変の有無で決まる。

  • 2

    定期受診が必要である。正解

    川崎病では冠動脈病変の出現・変化を見逃さないため、退院後も定期受診による経過観察が必要である。

  • 3

    水分摂取量の制限がある。不正解

    水分摂取量の制限を要する病態ではなく、退院指導として不適切である。

  • 4

    保育所への通所は2週間禁止する。不正解

    全身状態が安定し退院となった本例で、保育所通所を一律2週間禁止する医学的根拠はない。

📚 ここも一緒におさえておこう

川崎病は原因不明の全身性の血管炎で、4歳以下の乳幼児に多い。 急性期の治療は免疫グロブリン大量療法とアスピリンで、目標は冠動脈病変を防ぐことにある。

  • 冠動脈瘤があればアスピリンなどの抗血小板療法を継続し、巨大瘤では抗凝固薬を併用する。運動制限の要否も冠動脈病変の有無で決まる
  • 冠動脈病変は急性期に認めなくても後から出現・変化しうるため、退院後も心臓超音波検査による定期的な評価が必要
川崎病の主要症状
症状内容
発熱2019年の改訂で「5日以上」という日数の規定はなくなった
両側眼球結膜の充血眼脂を伴わない
口唇・口腔所見口唇の紅潮・亀裂、いちご舌、口腔咽頭粘膜のびまん性発赤
発疹不定形発疹。BCG接種部位の発赤も特徴的
四肢末端の変化急性期は手足の硬性浮腫と掌蹠の紅斑、回復期は指先からの膜様落屑
頸部リンパ節腫脹非化膿性で、通常は片側性

主要症状6つのうち5つ以上、または4つでも冠動脈病変があれば川崎病と診断される(診断の手引き改訂第6版・2019年)。

参考: 日本小児循環器学会『川崎病心臓血管後遺症の診断と治療に関するガイドライン』/医療情報科学研究所編『病気がみえる 小児科』

出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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