第107回 看護師国家試験 午後 問95 解説
📝 問題
次の文を読み94〜96の問いに答えよ。 A さん(52歳、女性)。くも膜下出血でICUに入室。 A さんは脳血管造影で右中大脳動脈に動脈瘤が確認され、脳血管内治療(コイル塞栓術)が実施された。その後、A さんは意識清明で問題なく経過していたが、手術後7日から刺激に対する反応が鈍くなり、閉眼していることが多くなった。意識レベルはジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅱ-10。左上肢は Barré〈バレー〉徴候陽性を示した。 A さんに生じていることとして最も考えられるのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 発症から1週前後で意識レベルが低下し、新たな麻痺が出たときは、脳血管攣縮が最も考えられる。
くも膜下出血後の脳血管攣縮は、発症後4〜14日(好発は7〜10日)に脳の主幹動脈が収縮し、脳虚血を起こす合併症である。 Aさんはコイル塞栓術のあといったん意識清明で経過していたが、術後7日から反応が鈍くなり、閉眼していることが増えた。 意識レベルはJCS Ⅱ-10まで下がり、左上肢のバレー徴候が陽性という新しい片麻痺も出ている。 時期・経過・症状のどれもが、脳血管攣縮による脳虚血の典型像である。
他の選択肢は、時期か症状が合わない。 再出血は発症直後に多く、しかも動脈瘤はすでにコイルで塞栓されている。 せん妄では、はっきりした運動麻痺は伴わない。 けいれん発作は一過性で、続く麻痺の説明にならない。 正常圧水頭症は亜急性から慢性期に、歩行障害・認知機能低下・尿失禁として現れる。
バレー徴候とは
両上肢を前に挙げて閉眼したまま保つと、麻痺のある側だけが下がってくる所見。軽い麻痺を見つける検査。
- 1
けいれん発作不正解
けいれん発作は一過性で、持続する意識低下と新たな片麻痺(バレー徴候陽性)を説明できない。
- 2
脳血管攣縮正解
術後7日という好発時期に意識低下と新規麻痺が出現しており、脳血管攣縮による脳虚血が最も考えられる。
- 3
せん妄不正解
せん妄は意識変容が主で明確な運動麻痺(バレー徴候陽性)を伴わず、本症例には合わない。
- 4
再出血不正解
再出血は動脈瘤コイル塞栓後で発症直後に多く、術後7日の経過とは時期が合わない。
- 5
水頭症不正解
正常圧水頭症は亜急性〜慢性期に歩行障害・認知低下・尿失禁を呈し、術後7日の急性麻痺とは経過が異なる。
📚 ここも一緒におさえておこう
脳血管攣縮は「一度よくなった患者が、術後1週前後で再び悪くなる」のが典型像である。症状・予防・看護の要点をひとつながりで覚えよう。
- 症状は意識レベルの低下・片麻痺・失語など、攣縮した血管の灌流域に応じた脳虚血症状
- 治療・予防では循環血液量と血圧の維持、塩酸ファスジル、オザグレルナトリウムなどが用いられる
- 脱水は攣縮を悪化させるため、in-outバランスと血圧の管理が看護の要点
- 経過観察には経頭蓋超音波ドプラ(TCD)や画像検査が用いられる
参考: 日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン」
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について