第107回 看護師国家試験 午後 問94 解説
📝 問題
次の文を読み94〜96の問いに答えよ。 A さん(52歳、女性)。自宅で突然激しい頭痛と悪心が出現し、自力で救急車を要請し、搬送された。ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅰ-2で頭痛を訴えており、発汗著明であった。瞳孔径は両側3.0mm。上下肢の麻痺はない。A さんは頭部CTでくも膜下出血と診断され、ICUに入室した。入室時のバイタルサインは、体温36.8℃、呼吸数24/分、脈拍92/分、血圧156/98mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉95%であった。 ICU入室から24時間以内に注意すべき A さんの症状や徴候はどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ くも膜下出血の急性期では再出血や頭蓋内圧亢進による瞳孔散大(脳ヘルニア徴候)に注意が必要である。
くも膜下出血の発症後24時間以内は、再出血の危険が最も高い時期である。 再出血や脳浮腫で頭蓋内圧が上がると、動眼神経が圧迫され、脳ヘルニアが切迫して瞳孔不同・瞳孔散大・対光反射消失が現れる。 これは命に直結する警告徴候で、意識レベルの低下とあわせて厳重に観察する。 入室時に両側3.0mmと正常だった瞳孔径が変わらないか、経時的に見ていく。
他の選択肢は、いずれもくも膜下出血の急性期に現れる徴候ではない。 Kussmaul〈クスマウル〉呼吸は代謝性アシドーシスのとき、膝蓋腱反射の低下は末梢神経や脊髄の障害、企図振戦は小脳の障害でみられる。
脳ヘルニアとは
頭蓋内の圧が高まり、脳の一部が本来の場所から押し出されてはみ出した状態。呼吸や循環の中枢が障害されると命に関わる。
- 1
Kussmaul〈クスマウル〉呼吸不正解
Kussmaul呼吸は糖尿病性ケトアシドーシスなど代謝性アシドーシスの代償性呼吸で、くも膜下出血急性期の徴候ではない。
- 2
膝蓋腱反射の低下不正解
膝蓋腱反射の低下は末梢神経障害や脊髄下位病変でみられ、頭蓋内出血の急性期に注意すべき徴候ではない。
- 3
企図振戦不正解
企図振戦は小脳障害の症状であり、くも膜下出血の急性期に生じる典型徴候ではない。
- 4
瞳孔散大正解
瞳孔散大は再出血・頭蓋内圧亢進による脳ヘルニアの警告徴候で、24時間以内に最も注意すべき所見である。
📚 国試でよく狙われるところ
くも膜下出血の合併症は、時期と症状を入れ替えて問われる。発症から何日目かで見分けよう。 あわせて、頭蓋内圧亢進のサインも同時に問われる。
- 再出血予防のため安静・鎮痛・鎮静・血圧管理を行い、刺激を最小限にする
- 頭蓋内圧亢進の3徴は頭痛・嘔吐・うっ血乳頭
- クッシング現象=血圧上昇+徐脈は頭蓋内圧亢進の重要なサイン
| 時期 | 合併症 | 主な観察点 |
|---|---|---|
| ①発症〜24時間(〜72時間) | 再出血 | 突然の頭痛増強、意識レベル低下、瞳孔不同、血圧上昇 |
| ②発症4〜14日(好発7〜10日) | 脳血管攣縮 | 意識レベルの低下、新たな麻痺・失語 |
| ③発症2週以降〜慢性期 | 正常圧水頭症 | 歩行障害、認知機能低下、尿失禁 |
参考: 日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン」
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について