第107回 看護師国家試験 午後 問32 解説
📝 問題
ハイリスクアプローチについて正しいのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ ハイリスクアプローチは、個々に対する費用対効果が高い。
ハイリスクアプローチは、疾病発症の危険が高い個人(高リスク集団)に的を絞って介入する方法である。 対象を限定するため無駄が少なく、個々に対して費用対効果が高く、動機づけが得やすい点が長所である。 一方、対象を選別する検査コストや、集団全体でみると予防効果が限定的という短所がある。
対になるポピュレーションアプローチは、集団全体に働きかけてリスク分布全体を下げる方法である。 集団全体の健康状態の向上に貢献し、一次予防に適するが、個々の恩恵は小さい。 国試では両者の長所・短所の対比が頻出である。 「成果が恒久的」「集団全体への貢献」「一次予防」はポピュレーションアプローチ側の特徴として覚える。
- 1
費用対効果が高い。正解
対象を高リスク者に絞るため無駄が少なく、個々に対する費用対効果が高いのがハイリスクアプローチの長所である。
- 2
成果が恒久的である。不正解
成果が恒久的とはいえず、対象を選別し続ける必要がある。恒久的な集団の底上げはポピュレーションアプローチの特徴に近い。
- 3
一次予防を目的とする。不正解
一次予防を目的とするのはポピュレーションアプローチである。
- 4
集団全体の健康状態の向上に貢献する。不正解
集団全体の健康状態の向上に貢献するのはポピュレーションアプローチの特徴である。
📚 混同しやすいので注意
ローズが示した2つの予防戦略。 どちらが優れているかではなく、組み合わせて用いるものである。
- 集団全体では、リスクの低い多数から発生する患者数が高リスク者からの発生数を上回ることがある(予防のパラドックス)
- 特定健康診査・特定保健指導は40〜74歳の医療保険加入者が対象
| 項目 | ハイリスクアプローチ | ポピュレーションアプローチ |
|---|---|---|
| 対象 | リスクの高い個人・集団 | 集団全体 |
| 方法 | スクリーニングで対象を選別し個別に介入 | 環境整備・健康教育でリスク分布全体を下げる |
| 長所 | 対象が明確で動機づけが得やすく、個人への費用対効果が高い | 集団全体の健康水準が向上し、効果が持続しやすい |
| 短所 | 集団全体でみた予防効果は限定的、選別に費用がかかる | 個人が得る利益は小さく動機づけが弱い |
| 例 | 特定保健指導、高血圧者への個別指導 | 減塩キャンペーン、受動喫煙防止、食品の栄養表示 |
参考: Rose G. 予防医学の戦略/厚生労働省 健康日本21関連資料
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について