第107回 看護師国家試験 午後 問20 解説
📝 問題
モルヒネの副作用〈有害事象〉はどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ モルヒネは腸管の蠕動を抑えるため、便秘を高い頻度で起こす。
モルヒネなどのオピオイドは、消化管のオピオイド受容体に作用して腸管の蠕動を抑えるため便秘を起こしやすい。 便秘は耐性が生じにくく持続するため、投与開始と同時に緩下剤の予防的投与が推奨される。 ほかに悪心・嘔吐、眠気、呼吸抑制などの副作用がある。
国試ではオピオイドの副作用が頻出である。 「便秘・悪心嘔吐・眠気・呼吸抑制」を代表副作用として押さえ、便秘だけは予防的な緩下剤が必要という点も併せて覚えておく。
オピオイドとは
モルヒネなど、脳や脊髄の受容体にはたらいて強い痛みを抑える薬の総称。医療用麻薬もこれに含まれる。
- 1
出血不正解
出血は抗凝固薬や抗血小板薬で問われる副作用で、モルヒネの代表的な副作用ではない。
- 2
便秘正解
モルヒネは腸管運動を抑制し、便秘を高頻度に起こす。
- 3
高血圧不正解
モルヒネは高血圧を主な副作用とはしない(むしろ血圧低下をきたすことがある)。
- 4
粘膜障害不正解
粘膜障害は抗がん薬などでみられるもので、モルヒネの代表的な副作用ではない。
📚 混同しやすいので注意
がん疼痛の管理は、痛みの評価・投与の仕方・副作用対策の3つで問われる。 副作用は「耐性ができるもの/できないもの」で対応が変わり、便秘だけは最後まで残るため予防投与が原則。
- がん疼痛では定時投与に加え、突出痛にレスキュー・ドーズを用いる
- 痛みの評価は数値評価スケール(NRS)・視覚的アナログスケール(VAS)・フェイススケールを用い、患者本人の訴えを基準にする
- 医療用麻薬を適切に用いても依存は形成されにくい。誤解による過少投与を避ける
| 副作用 | 経過 | 対策 |
|---|---|---|
| 便秘 | 耐性がほとんど生じず持続する | 開始と同時に緩下剤を定期投与、水分・食物繊維、腹部マッサージ |
| 悪心・嘔吐 | 開始初期に多く、1〜2週で耐性ができる | 制吐薬の併用、体動時の悪心に注意 |
| 眠気 | 数日で耐性ができる | 経過観察、増量時・腎機能低下時は注意 |
| 呼吸抑制 | 過量で出現。先行して強い眠気が現れる | 呼吸数の観察、拮抗薬はナロキソン |
参考: 日本緩和医療学会『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン』
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について