第107回 看護師国家試験 午後 問110 解説
📝 問題
次の文を読み109〜111の問いに答えよ。 A さん(23歳、女性)。強迫性障害で任意入院中。 A さんは、食事の時間以外は他の患者との接触を避け、病室で1人で過ごしている。両親は共働きで、毎日面会に来ることはできない。A さんは自宅に面会の催促の電話をかけては母親と口論している。A さんとの関わりに心身ともに疲れ果てた母親が、看護師に相談してきた。 母親への看護師の対応で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 母子の口論という関係の課題には、看護師がAさんと母親の話し合いに同席することを提案するのが最も適切である。
Aさんは他の患者との接触を避けて孤立し、面会を催促する電話で母親と口論を繰り返している。母親も疲れ果てて看護師に相談してきた。 ここで起きているのはAさんと母親の関係の問題なので、看護師が二人の話し合いに同席することを提案する。 第三者が入ると感情的な対立がやわらぎ、双方が思いを言葉にしやすくなる。当事者同士の関係調整を支える関わりである。
他の3つは、看護師が母子の一方に肩入れするか、二人が向き合う機会そのものを取り上げてしまう。毎日の面会は疲れた母親の負担をさらに増やし、連絡の制限は本人の主体性を奪い、看護師が代わりに気持ちを伝えるのは対話の場をなくす。 精神看護では家族と患者の関係を当事者主体で調整し、看護師は橋渡し役を担う。
- 1
父親と交代で毎日面会に来るよう勧める。不正解
毎日面会を勧めるのは疲弊した母親の負担をさらに増やし、共働きの状況にも合わない。
- 2
A さんからの自宅への連絡を制限することを約束する。不正解
連絡制限を約束するのは看護師が一方的に本人の行動を制約するもので、本人の主体性を損なう。
- 3
A さんの代わりに看護師が A さんの苦悩を母親に伝える。不正解
看護師が代わりに苦悩を伝えると当事者間の直接的な対話の機会を奪い、関係調整につながりにくい。
- 4
A さんと母親との話し合いに看護師が同席することを提案する。正解
話し合いに看護師が同席することで双方の思いを橋渡しし、関係を建設的に調整でき最も適切である。
📚 ここも一緒におさえておこう
精神看護における家族支援では、家族を「協力者」であると同時に「支援を要する存在」として捉える。
- 感情表出(EE)=家族の批判的コメント・敵意・情緒的巻き込まれすぎ。高EE環境は再発の危険因子とされる
- 家族心理教育により疾患・治療の理解と対処法を共有すると、再発率の低下が期待できる
- 家族自身の疲弊(介護負担・孤立)に目を向け、家族会・レスパイトなどの資源を紹介する
- 看護師は一方の代弁者になるのではなく、双方の話を聴き関係を調整する中立的な立場をとる
参考: 日本精神神経学会「強迫症の治療ガイドライン」
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について