第107回 看護師国家試験 午前 問97 解説
📝 問題
次の文を読み97〜99の問いに答えよ。Aさん(75歳、女性)。1人暮らし。脳梗塞の後遺症で左不全麻痺があり、要介護1の認定を受けている。最近、夜間に中途覚醒することが多い。昨夜、トイレに行く際に転倒し、右手をついた。転倒後から右上肢の痛みがあり、翌朝になっても痛みが強かったため受診した。エックス線写真の結果から、右の上腕骨近位部骨折と診断され、入院した。Aさんの骨折に対して保存療法が行われることとなった。骨折の固定法を図に示す。 Aさんの骨折部の固定として適切なのはどれか。
※ 選択肢は準備中です(別紙資料の問題)。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 上腕骨近位部骨折の保存療法では、患肢を体幹に固定して肩・上腕を安静に保つ固定法が適切である。
上腕骨近位部骨折の保存療法では、骨折部に無理な力が加わらないよう患側上肢を体幹に沿わせて固定し、肩関節・上腕を安静に保つ。 三角巾や上肢固定帯などで前腕を吊り、上腕を体幹に密着させることで、骨折部のずれを防ぎ、早期からの過度な運動による転位を避ける。 図に示された固定法のうち、この原則にかなうものを選ぶ。
高齢者の上腕骨近位部骨折は転倒で頻発し、多くは保存療法で治療される。 固定の目的は、骨折部の安静と転位の防止にある。 同時に、長期の固定による拘縮を避けるため、段階的な可動域訓練へ移行する点も重要である。 図で固定法を選ぶ問題は、この原則を理解していれば選びやすい。
拘縮とは
関節を長く動かさないでいるうちに周りの組織が硬くなり、動かせる範囲がせまくなること。
- 3
正解
患肢を体幹に固定し、肩・上腕を安静に保つ固定法が、上腕骨近位部骨折の保存療法の原則にかなう。
📚 ここも一緒におさえておこう
高齢者の骨折は骨粗鬆症を背景とすることが多い。 長期臥床による廃用症候群を避けるため、固定と並行して早期のリハビリテーションを進める。
| 骨折 | 受傷機転 | 特徴・治療 |
|---|---|---|
| 上腕骨近位部骨折 | 転倒して手や肘をつく、肩を打つ | 多くは三角巾や固定帯による保存療法。肩関節拘縮の予防が課題 |
| 橈骨遠位端骨折(Colles骨折) | 転倒して手をつく | フォーク状変形。徒手整復とギプス固定が中心 |
| 大腿骨近位部(頸部・転子部)骨折 | 転倒して尻もちをつく、殿部を打つ | 歩行不能、患肢の短縮と外旋。早期手術と早期離床が原則 |
| 脊椎圧迫骨折 | しりもち、時に明らかな外傷なし | 円背・身長低下。コルセットによる保存療法が中心 |
参考: 日本整形外科学会 骨折治療の標準/医療情報科学研究所編『病気がみえる vol.11 運動器・整形外科』
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について