第107回 看護師国家試験 午前 問96 解説

状況設定成人看護学✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み94〜96の問いに答えよ。Aさん(55歳、男性)。胃癌のため胃全摘出術を受けた。手術後14日、Aさんは食後に出現していた症状が落ち着き、退院が決まった。 Aさんへの退院指導の内容で適切なのはどれか。

✅ 正解

4

💡 解説

✅ 胃切除後は空腹時にコーヒーなどの刺激物の摂取を避けるよう指導するのが適切である。

胃全摘後は胃酸・粘膜による緩衝作用が失われ、残った消化管粘膜が刺激に弱くなっている。 空腹時にコーヒー・香辛料などの刺激物を摂ると粘膜刺激や下痢・不快症状を誘発しやすいため、避けるよう指導する。 ダンピング予防の面からも、1回量を減らして少量頻回に、ゆっくり摂るのが基本である。

他の選択肢は、術後の消化管の状態に合わない。 1回の食事量を増やすとダンピングを招きやすく、海草など消化されにくい食品は、術後の腸管では通過障害・イレウスのリスクとなりうる。 食後に冷汗が出たときは臥位安静とし、身体を温めても対処にはならない。

  • 1

    1回の食事量を増やす。不正解

    胃の貯留機能がないため1回量を増やすとダンピングや腹部症状を誘発しやすく、少量頻回が原則である。

  • 2

    海草を積極的に摂取する。不正解

    海草は消化されにくい繊維が多く、術後腸管では通過障害・イレウスのリスクがあり積極摂取は勧められない。

  • 3

    食後の冷汗が出現した際には身体を温める。不正解

    食後の冷汗はダンピング症状であり、対処は臥位安静などで、身体を温めることが本質的な対応ではない。

  • 4

    空腹時はコーヒーなどの刺激物の摂取を避ける。正解

    術後の消化管粘膜は刺激に弱く、空腹時のコーヒーなど刺激物を避ける指導は適切である。

📚 ここも一緒におさえておこう

胃全摘後は、栄養の吸収障害と食べ方の工夫が長く問われる。何が足りなくなるかと、どう食べるかをセットで覚えよう。

  • 胃全摘では内因子が失われ、数年後にビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血を生じるため、定期的なビタミンB12の補充(筋肉内注射など)が必要である
  • 鉄の吸収低下による鉄欠乏性貧血、カルシウム・ビタミンDの吸収低下による骨粗鬆症も長期の合併症として起こる
  • 食事は1日5〜6回に分けて少量頻回とし、よく噛んでゆっくり摂る。食後しばらく横になるとダンピングの予防になる
  • 逆流性食道炎を防ぐため、就寝直前の食事を避け、上体を挙上して休む
  • 体重減少や下痢が続くときは、脂肪の摂りすぎや消化吸収障害の可能性があり受診を勧める

参考: 医療情報科学研究所編『病気がみえる vol.1 消化器』/日本外科学会 消化器外科テキスト

出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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