第107回 看護師国家試験 午前 問68 解説
📝 問題
小腸で消化吸収される栄養素のうち、胸管を通って輸送されるのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 中性脂肪はカイロミクロンとしてリンパ管に入り、胸管を通って輸送される。
小腸で吸収された長鎖脂肪酸とモノグリセリドは、腸の上皮細胞の中で中性脂肪に再合成され、カイロミクロンとなって毛細リンパ管(乳び管)に入る。 リンパの流れは最終的に胸管へ集まり、左静脈角で静脈に合流する。 中性脂肪はこの道筋を通るため、胸管を経由して運ばれる。
他の選択肢は、いずれも門脈血に入って肝臓へ運ばれる(門脈系)。 リンパ系(胸管)を通るのは脂質(と脂溶性ビタミン)だけで、この対比が要点である。 ただし短鎖・中鎖脂肪酸は例外で、門脈に入る。
カイロミクロンとは
小腸で吸収した脂質を運ぶための粒子。脂肪をたんぱく質などで包み、リンパ管を通って血液へ届ける。
- 1
糖質不正解
糖質(単糖)は門脈血に入って肝臓へ運ばれ、胸管を経由しない。
- 2
蛋白質不正解
蛋白質(アミノ酸)は門脈血に吸収され、リンパ系(胸管)は通らない。
- 3
電解質不正解
電解質は門脈血に吸収され、胸管を通る経路ではない。
- 4
中性脂肪正解
中性脂肪はカイロミクロンとしてリンパ管に入り胸管を通って輸送される。
- 5
水溶性ビタミン不正解
水溶性ビタミンは門脈血に吸収され、胸管を経由しない。
📚 国試でよく狙われるところ
栄養素は、門脈を通るものとリンパ管を通るものを入れ替えて問われる。「脂質だけが別ルート」と覚えよう。 胸管は腹部の乳び槽に始まり、下半身と左上半身のリンパを集めて左静脈角(左内頸静脈と左鎖骨下静脈の合流部)に注ぐ、人体最大のリンパ本幹である。
| 栄養素 | 吸収後の経路 |
|---|---|
| 単糖(グルコース・ガラクトース・フルクトース) | 門脈 → 肝臓 |
| アミノ酸・ジペプチド | 門脈 → 肝臓 |
| 水溶性ビタミン・電解質・水 | 門脈 → 肝臓 |
| 長鎖脂肪酸・モノグリセリド | カイロミクロン → 毛細リンパ管(乳び管)→ 胸管 → 左静脈角 |
| 短鎖・中鎖脂肪酸 | 門脈 → 肝臓 |
| 脂溶性ビタミン(A・D・E・K) | カイロミクロンに取り込まれリンパ系へ |
リンパ系を通るのは長鎖脂肪由来の脂質と脂溶性ビタミンだけで、他は門脈系を通る。
参考: 医学書院「系統看護学講座 解剖生理学」
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について