第107回 看護師国家試験 午前 問113 解説

状況設定看護の統合と実践✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み112〜114の問いに答えよ。Aさん(38歳、男性)。日本語学校の学生で、外出中に急に胸が痛くなり23時ころ救急外来を受診した。Aさんの妻が、AさんのA国民健康保険証を持って救急外来に到着した。妻から聴取した情報によると、Aさんは特に既往はないが、時々頭痛があり、母国で市販されていた鎮痛薬を常用していたとのことであった。心電図でST上昇が認められ、Aさんと妻は、医師から「入院して冠動脈造影(CAG)を受けないと命の危険があるかもしれない」と説明を受けた。しかし、Aさんは「たくさんの費用は支払えないし、学校を休むのが心配だ」と検査を受けることを拒んだ。 このときの救急外来の看護師の説明で優先されるのはどれか。

✅ 正解

4

💡 解説

✅ 費用を懸念し検査を拒むAさんには、医療費に国民健康保険が適用されることを説明するのが優先される。

Aさんは心電図でST上昇を認め、緊急に冠動脈造影を要する状況だが、「たくさんの費用は支払えない」と経済的な理由で検査を拒んでいる。 妻は国民健康保険証を持参している。 国民健康保険が適用され自己負担が軽くなると説明すれば、拒否のいちばんの壁である費用不安を直接取り除ける。

意思決定の支援では、拒否の根拠になっている懸念に的を絞って情報を伝える。 検査の手順や、学校を休むことへの心配に応えるのも大切だが、本人がいま最も強く訴えているのは費用である。宗教に応じた食事は、この場面で先に伝える情報ではない。

ST上昇とは

心電図の波形が基線より持ち上がった状態。急性心筋梗塞をはじめ、急いで対応が必要な病態で見られる所見。

  • 1

    検査の手順を説明する。不正解

    検査手順の説明も必要だが、拒否の主因である費用不安に応える説明が優先される。

  • 2

    学校は退学にならないことを説明する。不正解

    退学の心配への対応も大切だが、まず経済的理由による検査拒否を解く説明が優先度が高い。

  • 3

    宗教に応じた食事対応ができることを説明する。不正解

    宗教に応じた食事対応の説明は、本問で本人が訴える費用や検査拒否の問題と直接関係せず優先されない。

  • 4

    医療費は国民健康保険が適用されることを説明する。正解

    国民健康保険が適用され自己負担が軽減されることの説明は、費用不安による検査拒否を直接解消し優先される。

📚 ここも一緒におさえておこう

外国人の患者でも、費用を理由に治療をためらう人には使える制度から伝える。加入の要件と、負担を軽くするしくみを一組で覚えよう。

  • 日本に3か月を超えて滞在し住民登録をした外国人は、職場の健康保険に加入する場合を除き国民健康保険の被保険者となる(留学生も対象)
  • 医療費が高額になったときは高額療養費制度により、自己負担限度額を超えた分が支給される
  • 支払いが困難な場合は早期に医療ソーシャルワーカー(MSW)へつなぎ、公費負担医療や無料低額診療事業などの利用を検討する
  • 経済的理由による治療の拒否は、まず制度を説明することで解消できることが多い

参考: 厚生労働省「国民健康保険制度の概要」/医療情報科学研究所編『看護の統合と実践』

出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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