第107回 看護師国家試験 午前 問112 解説
📝 問題
次の文を読み112〜114の問いに答えよ。Aさん(38歳、男性)。23時ころ、徒歩で来院した。Aさんは胸を押さえ苦しそうに待合室で座っており、救急外来の看護師が声をかけると、Aさんは日本語を少し話すことができ、外出中に急に胸が痛くなったと話した。Aさんは英語は話せないようだった。Aさんは日本語学校の学生であり、Aさんの指定した番号に電話したところ、Aさんの妻につながり、日本語でのコミュニケーションが可能であった。妻は1時間後に病院に到着できるということだった。この病院には、夜間にAさんの母国語を話せる職員はいなかった。 医師の診察までに救急外来の看護師が行う対応として適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 母国語を話せる職員がいない状況では、Aさんの理解度に応じた日本語で症状を聴取するのが適切である。
Aさんは胸痛を訴えて苦しんでおり、急いで症状を把握する必要がある。 日本語は少し話せるが英語は話せず、母国語の分かる職員は夜間におらず、日本語で話せる妻の到着は1時間後である。 この条件では、Aさんに通じる平易な日本語でまず症状を聴き、初期対応につなげるのが最も現実的である。
在留外国人の看護では、言語の壁があっても緊急度に応じて必要な情報を先に得る。 在留資格の確認や大使館への連絡は救急対応より順番があとになり、胸痛のある人を待合室で待たせれば急変を見逃す。 使える手段は本人に分かる日本語とやさしい日本語で、それを使って症状の把握を急ぐ。
やさしい日本語とは
日本語に不慣れな人にも伝わるよう、言い方を簡単にした日本語。災害時や医療の場で広く使われている。
- 1
Aさんの在留資格を確認する。不正解
在留資格の確認は救急対応より優先度が低く、症状の把握と初期対応が先になる。
- 2
Aさんの母国の大使館に連絡する。不正解
大使館への連絡は緊急の症状聴取や対応より優先度が低い。
- 3
Aさんの理解度に応じた日本語で症状を聴取する。正解
Aさんの理解できる平易な日本語で症状を聴取し初期対応につなげるのが、限られた条件下で最も適切である。
- 4
妻が来院するまでAさんに待合室で待ってもらう。不正解
胸痛を訴える患者を待合室で待たせるのは急変の危険があり、まず症状を把握する。
📚 ここも一緒におさえておこう
外国人患者の看護では、言葉と文化の違いをどう埋めるかが問われる。使える手段・避けたい方法・急ぐときの優先順位を一組で覚えよう。
- 医療通訳(対面・電話・映像)、多言語の問診票、翻訳アプリなど、利用できる手段を平時から整えておく
- 家族(特に子ども)に通訳させることは、正確性・プライバシー・心理的負担の面から望ましくない
- やさしい日本語は、短い文にする・一文一義・二重否定や敬語の多用を避ける・専門用語を言い換える、といった工夫を指す
- 宗教や文化に基づく希望(食物禁忌、輸血の可否、同性の医療者を希望するなど)を確認し尊重する
- 緊急度の高い症状があるときは、言語の壁があっても待たせず、まずバイタルサインと症状の把握を優先する
参考: 厚生労働省「医療機関における外国人患者受入れ環境整備」/医療情報科学研究所編『看護の統合と実践』
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について