第106回 看護師国家試験 午後 問79 解説
📝 問題
胃食道逆流症について正しいのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
4・5
💡 解説
✅ 胃食道逆流症ではプロトンポンプ阻害薬が治療の第一選択であり、Barrett上皮は腺癌の発生リスクが高い。
胃食道逆流症は、胃の内容物が食道へ逆流して粘膜を傷つける病気である。胃とのつなぎ目にある下部食道括約筋がゆるむことで起こり、胸やけと呑酸(すっぱいものが上がってくる感じ)が主な症状になる。
治療の第一選択は、胃酸そのものが作られるのを抑えるプロトンポンプ阻害薬である。酸を抑えることで粘膜の傷が治り、症状も軽くなる。
逆流が長く続くと、酸に耐えられるよう食道の粘膜がもとの扁平上皮から胃に似た円柱上皮へ置き換わる。これがBarrett〈バレット〉上皮で、ここからは腺癌が生じやすく、内視鏡での定期的な経過観察が必要になる。
他の選択肢は向きや部位が食い違う。化生の向きは扁平上皮へではなく円柱上皮へであり、ゆるむのは上部ではなく下部の括約筋である。内視鏡でみた食道炎の程度と自覚症状の強さは一致せず、粘膜に傷がなくても強い胸やけを訴える人がいる。
化生とは
ある組織が、別の種類の組織に置き換わること。同じ場所が長く刺激を受け続けたときに起こる。
- 1
食道の扁平上皮化生を起こす。不正解
逆。食道はもともと扁平上皮で覆われており、逆流が続くと胃に似た円柱上皮へ置き換わる。
- 2
上部食道括約筋の弛緩によって生じる。不正解
ゆるむのは胃とつながる下部食道括約筋である。上部食道括約筋はのどと食道の境にあり、飲み込むときに開いて食物を通す筋である。
- 3
食道炎の程度と症状の強さが一致する。不正解
内視鏡でみた食道炎の程度と自覚症状の強さは一致しない。粘膜に傷がなくても強い胸やけを訴える型(非びらん性胃食道逆流症)がある。
- 4
プロトンポンプ阻害薬が第一選択の治療法である。正解
プロトンポンプ阻害薬は胃酸を作る最後の段階を抑える薬で、胃食道逆流症の治療で最初に選ばれる。
- 5
Barrett〈バレット〉上皮は腺癌の発生リスクが高い。正解
Barrett上皮は逆流が続いて食道の粘膜が円柱上皮に置き換わったもので、腺癌が発生しやすく経過観察の対象になる。
📚 国試でよく狙われるところ
胃食道逆流症は、症状を減らす生活の工夫がそのまま指導の問題になる。「酸が上がってこない姿勢」と「腹圧を上げない生活」の2つに束ねて覚えよう。
- 食後すぐに横にならず、2〜3時間あけてから就寝する。
- 眠るときは上半身を少し高くすると逆流しにくい。
- 脂肪の多い食事・チョコレート・コーヒー・アルコール・喫煙は下部食道括約筋をゆるめるため控える。
- 肥満・便秘・前かがみの姿勢・締めつける衣類は腹圧を上げて逆流を招くので、体重を落とし、締めつけを避ける。
参考: 消化器内科学(胃食道逆流症)/成人看護学(消化器疾患の看護)
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について