第106回 看護師国家試験 午後 問71 解説
📝 問題
生後1か月の男児。Hirschsprung〈ヒルシュスプルング〉病と診断され、生後6日、回腸部にストーマ造設術を行った。術後の経過は良好であり、退院に向けてストーマケアに関する指導を行うことになった。母親に対する指導として適切なのはどれか。
✅ 正解
5
💡 解説
✅ ストーマ装具は、便を捨てる部分が体の外側に向くように貼ると指導する。
生後1か月の乳児は一日の多くを仰向けで過ごし、おむつをあてている。ストーマ装具の排出口(便を捨てる部分)を体の外側へ向けて貼ると、おむつを開いたときに排出口がすぐ手前に来て、便を捨てやすく漏れも起こりにくい。
ヒルシュスプルング病でつくった回腸のストーマからは、水分が吸収される前の水様から泥状の便が少量ずつ出続ける。これが正常な状態で、量と皮膚の様子を毎日みていく。
交換は排便の少ない授乳前に行う。面板をはがしたあとは、こすらずに皮膚を洗って水分をとる。家庭でのケアなので、手を洗えば素手で行ってよい。
ヒルシュスプルング病とは
腸を動かす神経の細胞が生まれつきない病気。その部分で便が止まるため、新生児期からおなかが張り、便が出にくくなる。
面板とは
ストーマの周りの皮膚に貼りつける板状の部分。ここに便をためる袋を取り付ける。
- 1
「面板をはがした部位はタオルで拭いてください」不正解
乳児の皮膚は薄く傷つきやすいため、微温湯とやわらかい素材でやさしく洗い、押さえるように水分をとる。タオルでこするとかぶれの原因になる。
- 2
「ストーマ装具の交換は授乳直後に行ってください」不正解
授乳直後は腸の動きが活発になって便が出やすく、装具が貼りにくい。交換は排便の少ない授乳前に行う。
- 3
「ストーマから水様の便が出る時は受診してください」不正解
回腸ストーマから出る便は水様から泥状が正常である。受診が必要なのは、便やガスが出なくなったときや、腹部が張って嘔吐するときである。
- 4
「ストーマ装具の交換は滅菌手袋を装着して行ってください」不正解
家庭でのストーマケアは、手を洗えば素手で行ってよい。滅菌手袋は手術など無菌操作の場面で使うものである。
- 5
「ストーマ装具は便を捨てる部分が体の外側に向くように貼ってください」正解
排出口を体の外側へ向けると、おむつを開いたときに便を捨てやすく、漏れも防げる。
📚 ここも一緒におさえておこう
ヒルシュスプルング病は、見つかるきっかけ・病変の範囲・治療の流れが問われる。新生児期の症状とセットで覚えよう。
- 生後24時間以内に胎便が出ない胎便排泄の遅れ、腹部膨満、嘔吐が見つかるきっかけになる
- 神経節細胞が欠けている範囲は多くが直腸からS状結腸までで、範囲が広いほど症状が重い
- 根治手術は神経節細胞のない腸を切除してつなぐもので、それまでの間に人工肛門をつくることがある
参考: 小児看護学の標準的な教科書/日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会の用語集
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について