第106回 看護師国家試験 午前 問98 解説

状況設定老年看護学✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み97〜99の問いに答えよ。Aさん(71歳、女性)は、要介護1で、ベッドからの立ち上がりや入浴などに一部介助を必要とするが、歩行器で室内を移動できる。失禁することがあるため失禁用のパッドを装着している。Aさんは介護老人保健施設の短期入所〈ショートステイ〉を利用している。入所した日の夕方から、水様便と嘔吐とがみられ、感染性胃腸炎が疑われてトイレ付きの個室に移動した。Aさんは下痢と嘔吐の症状が続き、発症当日の夜から、集中力の低下と頻脈とがみられた。口渇はない。翌朝は症状が軽減したものの、午後になり見当識障害も現れた。 Aさんに起きている状態として最も考えられるのはどれか。

✅ 正解

1

💡 解説

✅ 下痢と嘔吐で体の水分が失われた脱水である。

下痢と嘔吐が続いたその日の夜から、集中力の低下と頻脈が現れ、翌日には見当識障害まで出ている。数時間から1日で進む意識の変化は、脱水で説明がつく。 体の水分が減ると循環する血液量を保てなくなり、脈を速めて補おうとする。脳への血流も落ちるため、集中できない、話がかみ合わないといった変化が出る。

見落としやすいのは、口渇の訴えがないことである。高齢者はのどの渇きを感じる働きが鈍く、体にためておける水分も少ないので、訴えがなくても脱水は進む。 皮膚や口の中の乾き、腋窩の乾燥、尿量の減少、体重の変化で判断する。

他の選択肢は経過と合わない。硬膜下血腫は頭を打った出来事があり、数週間かけて症状が出てくる。 認知症の中核症状は月から年の単位でゆっくり進む。 個室に移って1日で拘禁症状が現れることは考えにくい。

  • 1

    脱水正解

    下痢と嘔吐で失われた水分を補えず、頻脈と意識の変化として現れている。高齢者は口渇を訴えないまま進むことが多い。

  • 2

    硬膜下血腫不正解

    硬膜下血腫は頭を打った出来事があり、数週間かけて頭痛や意識の変化が出てくる。Aさんに外傷の経過はない。

  • 3

    認知症の中核症状不正解

    認知症の中核症状は年単位でゆっくり進む。1日のうちで軽くなったり重くなったりはしない。

  • 4

    隔離による拘禁症状不正解

    拘禁症状は隔離が長く続いたときに現れる。個室に移って1日で見当識障害が出る説明にはならない。

📚 国試でよく狙われるところ

高齢者の脱水は、自覚症状が出にくいことが繰り返し問われる。「訴えないから大丈夫」ではない、と覚えよう。

  • 高齢者で脱水が起こりやすい理由=体にためておける水分が少ない、口渇を感じにくい、腎臓が尿を濃くする力が落ちる、失禁を気にして飲水を控える。
  • 水分と一緒にナトリウムも失われる。下痢や嘔吐のあとは、塩分と糖分を含む経口補水液を選ぶ。
  • 急に始まり1日のうちで揺れる意識の変化はせん妄である。脱水・感染・薬など、体の原因を先に探す。

参考: 老年看護学の標準テキスト(高齢者の脱水とせん妄)

出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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