第106回 看護師国家試験 午前 問97 解説
📝 問題
次の文を読み97〜99の問いに答えよ。Aさん(71歳、女性)は、要介護1で、ベッドからの立ち上がりや入浴などに一部介助を必要とするが、歩行器で室内を移動できる。失禁することがあるため失禁用のパッドを装着している。Aさんは介護老人保健施設の短期入所〈ショートステイ〉を利用している。入所した日の夕方から、水様便と嘔吐とがみられ、感染性胃腸炎が疑われてトイレ付きの個室に移動した。 感染症の拡大を予防する方法で適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 排泄の介助にあたる看護師は、ガウンと手袋を着けて接触予防策をとる。
水様便と嘔吐が急に始まった高齢者では、ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎をまず考える。広がり方は接触感染で、便や吐物に触れた手や物を介して次の人へ移る。 標準予防策に接触予防策を足し、排泄や吐物の処理では手袋とガウンを着けて、衣服や皮膚が汚染されるのを防ぐ。
他の選択肢は、この経路を断つ手立てになっていない。食器は通常の洗浄と乾燥でよく、使い捨てに替える必要はない。 汚れた衣類は消毒したうえで洗濯すれば再び使えるので、焼却はしない。 ノロウイルスにはアルコールが効きにくいため、本人の手指も流水と石けんで洗う。 同じ理由で、歩行器などの物の表面もエタノールではなく次亜塩素酸ナトリウムで拭く。
- 1
使い捨ての食器に変える。不正解
食器は通常の洗浄と乾燥で安全に使える。使い捨てに替えても、手を介した感染は防げない。
- 2
汚物の付着した衣類は焼却処分する。不正解
汚れた衣類は次亜塩素酸ナトリウムに浸すか熱水で洗えば再び使える。焼却する必要はない。
- 3
排泄介助を行う看護師はガウンを装着する。正解
便や吐物に触れる場面では手袋とガウンを着け、衣服の汚染とそこからの持ち出しを防ぐ。
- 4
Aさんの手指を速乾性擦式の手指消毒薬で消毒する。不正解
ノロウイルスはアルコールが効きにくい。本人の手指も流水と石けんで洗い、ウイルスを洗い流す。
- 5
Aさんが触れた歩行器を80%エタノールで清拭する。不正解
エタノールでは十分に不活化できない。歩行器などよく触れる物の表面は次亜塩素酸ナトリウムで拭く。
📚 国試でよく狙われるところ
感染性胃腸炎は、アルコールが効くかどうかを入れ替えて問われる。効きにくい代表を先に覚え、そこだけ流水と石けん・塩素で対応すると束ねよう。
- 吐物や便の処理は0.1%(1,000ppm)、手すりなど環境の消毒は0.02%(200ppm)の次亜塩素酸ナトリウムを使う。
- ウイルスは乾くと舞い上がって広がる。乾かないうちに使い捨ての布で外側から内側へ拭き取り、窓を開けて換気する。
- 症状が治まってからも便にウイルスは出続ける。回復後もしばらくは手洗いを徹底する。
参考: 厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」/医療関連感染対策における標準予防策・接触予防策
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について