第106回 看護師国家試験 午前 問51 解説
📝 問題
Aさん(42歳、女性)は、3日前から微熱と強い全身倦怠感を自覚したため病院を受診したところ、肝機能障害が認められ、急性肝炎の診断で入院した。1か月前に生の牡蠣を摂取している。Aさんはこれまで肝臓に異常を指摘されたことはなく、家族で肝臓疾患を罹患した者はいない。Aさんが罹患した肝炎について正しいのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 生の牡蠣から感染したA型肝炎は、まれに劇症化する危険性がある。
生の牡蠣を食べてから約1か月後に発症した急性肝炎で、まず疑うのはA型肝炎である。 A型肝炎ウイルスは経口感染し、汚染された水や、加熱の足りない貝類が原因になる。 潜伏期は約1か月で、発熱・全身倦怠感・食欲不振で始まり、遅れて黄疸が現れる。
多くは安静と対症療法で治り、慢性化することはない。 ただし一部は肝臓の細胞が広い範囲で壊れる劇症肝炎へ進み、意識障害を起こして命に関わる。 年齢が高いほど重くなりやすい。
劇症肝炎とは
急性肝炎が急激に悪化して肝臓の働きが失われ、意識障害(肝性脳症)や出血傾向が現れる状態。発症から短い期間で命に関わる。
- 1
細菌感染である。不正解
A型肝炎の原因はウイルスである。牡蠣で起こる細菌性の食中毒には腸炎ビブリオがあるが、こちらは激しい腹痛と下痢が主体で急性肝炎にはならない。
- 2
劇症化する危険性がある。正解
A型肝炎の大部分は治るが、まれに肝細胞が広く壊れて劇症肝炎となり、肝性脳症や出血傾向が現れる。経過中は意識状態と凝固の検査値を観察する。
- 3
慢性肝炎に移行しやすい。不正解
A型肝炎は慢性化せず、一度かかると終生免疫が得られる。慢性肝炎に移行しやすいのはC型で、B型も感染した時期によっては慢性化する。
- 4
インターフェロン療法を行う。不正解
インターフェロンはB型・C型の慢性肝炎に使われてきた薬で、A型肝炎の治療は安静と輸液が中心になる。C型肝炎では現在、内服の抗ウイルス薬が治療の中心である。
📚 混同しやすいので注意
肝炎ウイルスは、感染経路・慢性化するか・ワクチンがあるかを入れ替えて問われる。「口から入るA型・E型は慢性化しない、血液から入るB型・C型は慢性化する」と束ねて覚えよう。
| 型 | 主な感染経路 | 慢性化 | ワクチン |
|---|---|---|---|
| A型 | 経口(水・加熱の足りない貝など) | しない | あり |
| B型 | 血液・体液(母子感染、性感染) | することがある | あり |
| C型 | 血液(輸血、注射針の使い回し) | しやすい | なし |
| E型 | 経口(生の豚・イノシシ・シカの肉) | しない | なし |
参考: 厚生労働省「肝炎対策・ウイルス性肝炎に関する情報」/系統看護学講座 成人看護学 消化器
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について