第106回 看護師国家試験 午前 問49 解説
📝 問題
点滴静脈内注射によって抗癌薬を投与している患者の看護で適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 抗癌薬による悪心は制吐薬で予防し、緩和する。
抗癌薬の悪心・嘔吐は我慢させるものではなく、制吐薬であらかじめ抑える。 薬の吐き気の起こしやすさに応じて点滴を始める前から制吐薬を使い、数日遅れて出てくる悪心にも続けて備える。 一度強い悪心を経験すると、点滴を見ただけで気分が悪くなる予期性悪心が起こり、治療を続けられなくなる。
点滴の管理では、血管外漏出を起こさないことが最も大切になる。 抗癌薬には漏れると皮膚や皮下組織が壊れるものがあり、刺入部の腫れや痛み、逆血の有無を繰り返し確かめる。
血管外漏出とは
点滴の薬が血管の外へ漏れること。抗癌薬では漏れた場所の皮膚や皮下組織が壊れ、治りにくい潰瘍になることがある。
- 1
悪心は薬で緩和する。正解
吐き気の起こしやすさに合わせて制吐薬を組み合わせ、点滴の前から予防的に使う。悪心が強いと食事も治療も続けられなくなるため、薬で抑えることが看護の基本になる。
- 2
留置針は原則として手背に挿入する。不正解
手背は血管が細く関節にも近いため、漏れたときの影響が大きい。第一に選ぶのは前腕の太くまっすぐな静脈で、関節付近や同じ血管の末梢側は避ける。
- 3
血管痛がある場合は直ちに留置針を差し替える。不正解
血管痛があるときは、まず注入を止めて薬が血管の外へ漏れていないかを確かめる。漏れていなければ、希釈や滴下速度の調整、加温で対応でき、すぐ刺し直す必要はない。
- 4
2回目以降の投与では過敏症の症状の確認は必要ない。不正解
過敏症は初回に限らず、投与を重ねてから初めて起こることもある。毎回、点滴の開始直後はとくに注意して呼吸状態・血圧・皮膚を観察する。
📚 ここも一緒におさえておこう
抗癌薬の点滴は、血管外漏出を疑ったときの初動がそのまま問われる。「抜かずに、まず止める」と覚えよう。 漏出を疑ったら針は抜かずに注入を止め、針から薬液を吸引してから医師に報告する。 薬によって漏れたときの組織の傷み方が違うため、壊死起因性かどうかを投与前に確かめておく。
参考: 日本癌治療学会「制吐薬適正使用ガイドライン」/系統看護学講座 成人看護学 がん看護
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について