第105回 看護師国家試験 午前 問83 解説
📝 問題
慢性腎不全によって起こるのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
4・5
💡 解説
✅ 慢性腎不全では低カルシウム血症と代謝性アシドーシスが起こる。
腎臓は、余分な水・電解質・酸を尿に捨て、骨をつくるのに要る活性型ビタミンDをつくっている。機能が落ちると、この2つの仕事が同時に滞る。
捨てられなくなった酸が体にたまり、代謝性アシドーシスになる。 活性型ビタミンDをつくれないと腸からカルシウムを吸収できず、低カルシウム血症になる。同時にリンが捨てられずにたまり、そのリンがカルシウムと結びついてカルシウムをさらに下げる。
他の選択肢は向きが逆である。水とナトリウムがたまって血圧は上がり、リンとカリウムは尿に捨てられなくなって高リン血症・高カリウム血症になる。
活性型ビタミンDとは
腎臓でつくられ、腸からカルシウムを吸収させるはたらきを持つ。腎臓の機能が落ちるとつくれなくなり、血中のカルシウムが下がる。
- 1
低血圧不正解
逆。血圧は上がる。水とナトリウムが体にたまり、腎臓からレニンも多く出るため、慢性腎不全では高血圧を合併しやすい。
- 2
低リン血症不正解
逆。リンは尿に捨てられなくなって高リン血症になる。増えたリンはカルシウムと結びつき、血中のカルシウムをさらに下げる。
- 3
低カリウム血症不正解
逆。カリウムも捨てられなくなり高カリウム血症になる。不整脈から心停止に至ることがあり、とくに警戒する電解質異常である。
- 4
低カルシウム血症正解
活性型ビタミンDをつくれなくなって腸からのカルシウム吸収が減り、高リン血症も重なってカルシウムが下がる。骨がもろくなる腎性骨異栄養症につながる。
- 5
代謝性アシドーシス正解
体でつくられた酸を尿に捨てられず、重炭酸イオンも失われて血液が酸性に傾く。深く速い呼吸で二酸化炭素を吐き出し、代償しようとする。
📚 丸暗記より仕組みで覚えよう
慢性腎不全は、腎臓の仕事が1つずつ失われる病気として問われる。「捨てられない」と「つくれない」の2つに分けると、症状がまとめて出てくる。
- 捨てられなくなるもの=水・ナトリウム・カリウム・リン・酸・尿素窒素
- つくれなくなるもの=活性型ビタミンD(不足すると低カルシウム血症)・エリスロポエチン(不足すると腎性貧血)
参考: 疾病の成り立ちと回復の促進(腎・泌尿器)/成人看護学(慢性腎臓病の看護)
出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について