第105回 看護師国家試験 午前 問111 解説
📝 問題
次の文を読み109〜111の問いに答えよ。Aさん(36歳、経産婦)は、夫と長男(3歳)との3人で暮らしている。妊娠40週0日、午前9時にAさんは陣痛開始のため入院した。このときは未破水であった。午後1時、体温36.8℃、脈拍64/分、血圧126/70mmHgであった。Aさんに分娩監視装置を装着したところ、陣痛間欠4分、胎児心拍数基線は140bpmで、一過性徐脈はみられなかった。午後2時、破水感があり医師が診察したところ、子宮口は7cm開大であり、羊水の流出がみられた。産褥4日、Aさんの体調は回復し、退院が決定した。夫に連れられて来た長男が赤ちゃんを珍しそうに見ている。Aさんは退院後に長男の退行現象が現れることを心配している。 Aさんへの説明で適切でないのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 長男にしっかりするように話すという説明は適切でない。
弟や妹が生まれると、上の子は親の関心が移ったと感じ、おもらしや指しゃぶり、強い甘えといった退行現象を示すことがある。これは愛情を確かめようとする行動で、自然に起こる。
求められているのは、しっかりさせることではなく、長男が自分も大事にされていると感じられるようにすることである。 しっかりするように求めれば長男は我慢を強いられ、退行現象はかえって長引く。
残る3つは、いずれも長男の居場所をつくる関わりである。
退行現象とは
弟や妹が生まれたあと、上の子が一度できるようになったことをしなくなり、甘えが強くなること。赤ちゃん返りともいう。
- 1
「長男と2人きりになる時間をつくるようにしましょう」不正解
長男だけに向き合う時間は、関心が赤ちゃんに移っていないことを実感させる。退行現象への基本の関わりになる。
- 2
「長男と一緒に赤ちゃんのおむつを交換しましょう」不正解
おむつ交換を一緒にすると、長男は世話をする側になれる。兄としての役割が新しい居場所になる。
- 3
「長男にしっかりするように話しましょう」正解
しっかりするように求めることは、長男に我慢を強いる。甘えを受け止めてもらえないと、退行現象は強まりやすい。
- 4
「長男をほめて安心させましょう」不正解
ほめられることで、自分は大事にされていると感じられる。安心が退行現象をやわらげる。
📚 ここも一緒におさえておこう
きょうだいの誕生に伴う上の子の変化は、「叱らずに受け止める」を軸に問われる。困った行動ではなく、安心を求めるサインだと覚えよう。
- 入院中から面会や電話で上の子とつながりを保ち、退院後は上の子を先に抱くなど順番で安心を示す
- 父親や祖父母が上の子の相手をすることで、母親は休息と授乳の時間を確保できる
- 上の子の変化は自然な反応であり、母親が自分の育て方のせいだと思い込まないように伝える
参考: 小児看護学テキスト(きょうだいへの支援)/母性看護学テキスト(産褥期の家族の適応)
出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について