第104回 看護師国家試験 午後 問89 解説

一般老年看護学✔ 監修済み

📝 問題

Aさん(72歳、女性)は、1人で暮らしており、要介護1で訪問看護を利用している。昨日の訪問時、看護師は高級な羽毛布団を見かけ、Aさんに尋ねると購入の覚えがないと話した。別居している長男は、週1回電話でAさんの様子を確認している。 看護師の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。

✅ 正解

1・5

💡 解説

✅ Aさんの判断能力を評価し、長男に連絡して事実を確かめる。

身に覚えのない高級品が家にあるという状況からは、悪質商法による被害と、判断能力の低下の両方が考えられる。 看護師がまず行うのは、Aさんが契約のことをどう理解しているかを確かめ、判断能力を評価することである。 そのうえで、本人の同意を得ながら、ふだん様子を見ている長男に連絡し、事実の確認とこれからの見守りにつなげる。

ほかの選択肢は、看護師が単独で決めて進めることではない。 返品の手続きは契約をした本人や家族が相談窓口を通して行い、成年後見人の選任は判断能力を評価したうえで家庭裁判所へ申し立てる。 近隣住民への聞き取りは、本人の同意なく私生活の情報を集めることになる。

クーリング・オフとは

訪問販売などで契約したあと、決められた期間内なら無条件で契約を解除できる制度。訪問販売では書面を受け取った日から8日以内。

  • 1

    長男への連絡正解

    長男は週1回電話でAさんの様子を確認している家族で、契約の事実を確かめ、これからの見守りを相談できる相手である。連絡は本人の同意を得たうえで行う。

  • 2

    羽毛布団の返品不正解

    返品や契約の解除は、契約をした本人や家族が消費生活センターに相談して進める手続きである。訪問販売なら、クーリング・オフができる期間内かどうかがまず問題になる。

  • 3

    成年後見人の選任不正解

    成年後見制度は判断能力が不十分な人の財産や契約を守る仕組みで、家庭裁判所への申立てが要る。まず判断能力を評価するのが先になる。

  • 4

    近隣住民への聞き取り不正解

    本人の同意なく近隣へ事情を尋ねるのは、私生活の情報を無断で集めることになる。確認は本人と家族、専門の窓口を通して行う。

  • 5

    Aさんの判断能力の評価正解

    契約したことを覚えているか、内容を理解できていたかを確かめることが、被害かどうかと必要な支援を見極める出発点になる。

📚 ここも一緒におさえておこう

高齢者の消費者被害は、気づいたあとに「どこへつなぐか」で問われる。判断能力の程度と相談先を対にして覚えよう。

  • 相談先=消費者ホットライン(188)。地域の消費生活センターにつながり、契約の解除や被害の相談ができる
  • 判断能力が不十分になった人の財産と契約を守るのが成年後見制度で、家庭裁判所が後見人を選ぶ
  • 判断能力はあるが金銭の管理に不安がある人は、社会福祉協議会の日常生活自立支援事業で通帳の預かりや支払いの手伝いを受けられる
  • 地域包括支援センターは高齢者の権利擁護を担う窓口で、消費者被害や虐待の相談も引き受ける。財産を勝手に使われることは高齢者虐待防止法の経済的虐待にあたる

参考: 老年看護学(高齢者の権利擁護)の教科書/消費者庁「消費者ホットライン188」

出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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