第104回 看護師国家試験 午後 問79 解説

一般精神看護学✔ 監修済み

📝 問題

Aさん(60歳、男性)は、統合失調症で20年前から抗精神病薬を服用している。常に口を動かしているため、何か食べていないか看護師が口の中を確認するが、何も口には入っていない。Aさんは「勝手に口と舌が動いてしまう」と言う。 Aさんに現れている症状はどれか。

✅ 正解

4

💡 解説

✅ Aさんに現れているのは、抗精神病薬の長期服用で起こる遅発性ジスキネジアである。

抗精神病薬には、体の動きを調節する神経のはたらきが乱れて起こる錐体外路症状という副作用がある。 このうち、服薬を長く続けたあとに現れる口や舌の不随意運動が遅発性ジスキネジアである。 口をもぐもぐさせる、舌を出す、口をすぼめるといった動きが、本人の意思と関係なく続く。 Aさんは20年服用しており、「勝手に口と舌が動いてしまう」という訴えがこれに当てはまる。

ほかの選択肢は、現れ方や起こる時期が違う。 アカシジアは足がむずむずして座っていられなくなる状態で、薬を始めた直後や増やしたときに多い。 カタレプシーは他人にとらされた姿勢をそのまま保ち続ける状態で、緊張病でみられる。 作為体験と被害妄想は薬の副作用ではなく、統合失調症そのものの症状である。

錐体外路症状とは

体の動きをなめらかに調節する神経の通り道(錐体外路)が薬などで乱れて起こる症状。ふるえ・筋のこわばり・不随意運動などが出る。

  • 1

    被害妄想不正解

    被害妄想は「誰かに狙われている」と事実でないことを確信する症状で、統合失調症の陽性症状にあたる。Aさんが訴えているのは体の動きである。

  • 2

    作為体験不正解

    作為体験は「誰かに操られて動かされている」と感じるさせられ体験で、自我の障害にあたる。Aさんは自分の意思と関係なく動くと感じているが、他人に操られているとは述べていない。

  • 3

    カタレプシー不正解

    カタレプシーは、他人にとらされた不自然な姿勢を長く保ち続ける状態で、緊張病でみられる。動き続けるのではなく止まったままになる。

  • 4

    遅発性ジスキネジア正解

    抗精神病薬を長く飲み続けた人に現れる、口や舌の不随意運動である。薬を減らしても続くことがある。

  • 5

    静座不能〈アカシジア〉不正解

    アカシジアは下肢がむずむずして座っていられない状態で、薬の開始直後や増量したときに現れやすい。

📚 混同しやすいので注意

抗精神病薬の錐体外路症状は、名前と現れ方を入れ替えて問われる。「いつ出るか」と「どこがどう動くか」を組にして覚えよう。

抗精神病薬の主な錐体外路症状
症状現れ方出やすい時期
急性ジストニア首や眼が一方向にねじれる、舌が突き出る開始直後の数日以内
アカシジア〈静座不能〉足がむずむずして座っていられない開始・増量後の数日〜数週
薬剤性パーキンソニズム動作が遅い、手がふるえる、筋が硬くなる開始後の数週〜数か月
遅発性ジスキネジア口をもぐもぐ動かす、舌を出す数か月〜数年の長期服用後

参考: 精神看護学(精神科薬物療法)の教科書/統合失調症薬物治療ガイドライン

出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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