第104回 看護師国家試験 午後 問78 解説
📝 問題
Aさん(28歳、初産婦)は、妊娠11週である。身長160 cm、体重52 kg(非妊時体重50 kg)である。現在は身体活動レベルⅠ(非妊時は身体活動レベルⅡ)で妊娠経過は順調である。 現時点で非妊時と比べて食事に付加することが望ましいのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 妊娠初期に非妊時より付加することが望ましいのは葉酸である。
葉酸は細胞が新しく作られるときに欠かせないビタミンで、妊娠すると必要量が増える。 妊娠を計画したときから妊娠初期にかけては、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを下げるため、食事とは別にサプリメントなどから400μg/日をとることがすすめられている。 Aさんは妊娠11週で、ちょうどこの時期にあたる。
ほかの栄養素は、いまの時期に増やす理由がない。 蛋白質の付加が始まるのは妊娠中期からで、カルシウムとカリウムには妊婦への付加量が設定されていない。 身体活動レベルはⅠが低い・Ⅱがふつうを表し、AさんはⅡからⅠへ下がって動く量が減っている。妊娠初期のエネルギーの付加はごくわずかなので、糖質を増やす必要はない。
神経管閉鎖障害とは
胎児の脳や脊髄のもとになる神経管がうまく閉じずに起こる異常。二分脊椎や無脳症が代表で、妊娠のごく初期に決まる。
- 1
糖質不正解
妊娠初期に増えるエネルギーはごくわずかで、Aさんは身体活動レベルが下がっている。動く量が減った分でまかなえる。
- 2
葉酸正解
妊娠初期は神経管閉鎖障害を防ぐため、食事に加えてサプリメントなどから400μg/日をとることがすすめられる。
- 3
蛋白質不正解
蛋白質の付加量が設定されているのは妊娠中期からで、胎児や子宮・乳房が大きくなる時期に合わせて増やす。
- 4
カリウム不正解
カリウムは妊婦への付加量が設定されていない栄養素で、ふだんの食事でとれていればよい。
- 5
カルシウム不正解
カルシウムにも妊婦への付加量はない。妊娠中は腸からの吸収率が上がるため、非妊時と同じ量で足りる。
📚 国試でよく狙われるところ
妊婦の付加量は、栄養素と時期の組合せを入れ替えて問われる(現行は日本人の食事摂取基準2025年版)。「いつから増やすのか」を栄養素ごとに覚えよう。
- 葉酸=妊娠を計画したときから妊娠初期はサプリメントなどで400μg/日を追加し、中期・後期は食事から+240μg/日を付加する
- 蛋白質=付加が始まるのは妊娠中期からで、初期は付加なし
- カルシウム・カリウム=妊婦への付加量なし。妊娠中はカルシウムの吸収率が上がる
- 鉄=妊娠中期・後期に付加量が大きくなり、妊娠性貧血の予防が課題になる
参考: 日本人の食事摂取基準(2025年版)/母性看護学(妊娠期の栄養)の教科書
出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について