第104回 看護師国家試験 午後 問66 解説
📝 問題
Aさん(38歳、女性、パート勤務)は、腹痛のため、姉に付き添われて救急外来を受診した。診察時、身体には殴られてできたとみられる複数の打撲痕が確認された。腹痛の原因は夫から蹴られたことであった。Aさんは「家に帰るのが怖い。姉には夫の暴力について話したくない」と泣いている。 外来での看護師の対応で適切なのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 配偶者からの暴力による負傷を認めたときは、配偶者暴力相談支援センターへ通報する。
Aさんは夫から蹴られて負傷し、「家に帰るのが怖い」と話している。 帰宅すれば暴力が繰り返される危険が高く、外来の場だけでは安全を守れない。
配偶者からの暴力による負傷を見つけた医療関係者は、配偶者暴力相談支援センターや警察官へ通報できると配偶者暴力防止法に定められている。 通報にあたっては本人の意思を尊重するよう努めることになっている。 Aさんに通報の意味と受けられる支援を説明し、納得を得ながら進める。
残る3つは、Aさんの意思に反したり、被害を受けた人を追いつめたりする対応である。
配偶者暴力相談支援センターとは
配偶者からの暴力について相談を受け、一時保護や自立への支援を行う窓口。都道府県などに置かれている。
- 1
打撲痕を姉に見てもらう。不正解
Aさんは姉に暴力のことを話したくないと言っている。本人の同意なく打撲痕を見せることは信頼を損ね、その後の相談を難しくする。
- 2
配偶者暴力相談支援センターに通報する。正解
通報は法律で認められた対応で、保護や生活の立て直しにつながる窓口とAさんを結びつける。Aさんに説明し、意思を尊重しながら進める。
- 3
暴力を受けたときの状況を具体的に話すことを求める。不正解
暴力の場面を詳しく語ることは、つらい体験を思い出させて負担が大きい。まず安全の確保を優先し、Aさんが話せる範囲で聞く。
- 4
Aさんが日頃から夫を怒らせるようなことがなかったか聞く。不正解
暴力の責任は加害者にある。Aさんの言動を原因のようにたずねると、自分を責める気持ちを強め、被害を打ち明けにくくさせる。
📚 国試でよく狙われるところ
配偶者暴力防止法は、誰が何をできるかと、裁判所が出す命令の中身が問われる。「医療者は通報できる、裁判所は近づくことを禁じる」と分けて覚えよう。
- 医療関係者は、暴力による負傷を見つけたとき配偶者暴力相談支援センターや警察官へ通報できる。本人の意思を尊重するよう努める
- 被害者には、センターを利用できることを伝えるよう努める
- 裁判所が出す保護命令には接近禁止・電話等禁止・退去などがあり、接近禁止命令の期間は1年間。精神的な暴力を受けた場合も対象になる
参考: 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律/内閣府男女共同参画局 配偶者からの暴力被害者支援情報
出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について