第104回 看護師国家試験 午後 問109 解説
📝 問題
次の文を読み109〜111の問いに答えよ。Aさん(52歳、女性、専業主婦)は、夫と2人の息子との4人で暮らしている。Aさんは内向的な性格であり、順番にまわってきた町内会の役員を引き受けたことで悩むことが多くなった。2か月前から食欲不振と不眠が続いている。1か月前から家事ができなくなり、死んでしまいたいと言い始めたため、夫が付き添って精神科を受診したところ、うつ病と診断された。 Aさんは「いつも体がだるくて、何もしたくない。生きていても皆に迷惑がかかるだけだ」と話す。体重減少と長期間続く不眠のため、疲れ果てた様子をみせていることから、その日のうちに入院し、薬物治療が開始された。 入院当日の観察項目で優先度が高いのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 入院当日は水分摂取量の観察が最も優先度が高い。
Aさんは2か月続く食欲不振と不眠で体重が減り、疲れ果てた様子で入院している。食事がとれていないときは、水分も一緒にとれていないことが多い。 水分が足りないと血圧が下がり、電解質のバランスも崩れる。始まったばかりの薬の副作用も出やすくなるため、入院当日はまず水分の出入りを確かめる。
残る3つは、いま最優先ではない。 清潔が保てているかは、うつ病で低下しやすいセルフケアの1つだが、命に関わる問題ではない。 うつ病そのものでは意識は保たれるため、意識レベルが下がるときは脱水や身体の病気を疑う場面である。 他者との交流は回復してから広げていくもので、入院当日は休息を最優先にする。
- 1
清潔状態不正解
入浴や更衣ができているかは、うつ病で低下するセルフケアの1つとして大切な観察点。ただし入院当日に生命を左右するものではない。
- 2
水分摂取量正解
2か月の食欲不振で食事量が減っており、水分も不足しやすい。脱水は血圧の低下や電解質の異常を招き、薬の副作用も出やすくする。
- 3
意識レベル不正解
意識レベルはうつ病では保たれる。低下しているときは脱水や身体の病気、薬の影響を考える場面になる。
- 4
他者との交流状況不正解
他者と関わる力は回復とともに戻ってくる。入院当日は交流を促すより、休息をとれる環境を整える。
📚 国試でよく狙われるところ
うつ病の急性期は、何をするかより何をしないかで問われる。「休ませる・励まさない・決めさせない」の3つで覚えよう。
- まず休息を保証する。予定や課題を増やさず、身のまわりのことは手伝ってよい
- 「がんばって」と励まさない。できていない自分を責める気持ちを強めてしまう
- 退職や離婚などの大きな決断は先送りしてもらう。判断する力が落ちている時期の決定は後悔につながる
参考: 系統看護学講座 精神看護学/日本うつ病学会 うつ病治療ガイドライン
出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について