第103回 看護師国家試験 午前 問99 解説
📝 問題
次の文を読み97〜99の問いに答えよ。Aさん(72歳、女性)は、1人で暮らしている。Aさんは1年前に夫を亡くした後、近所付き合いが少なくなっていた。遠方に住むAさんの息子が時々電話で様子を確認していた。最近は元気がなく、Aさんの息子が心配して様子を見に来たところ、食事を食べた様子がなく、ごみは捨てられていなかった。Aさんは発熱してぐったりしており、息子に連れられて病院を受診した。Aさんは脱水状態の治療と抑うつ状態の疑いのため検査が必要であると判断されて入院した。Aさんの既往歴に特記すべきことはない。入院後1か月、Aさんは内服治療により病棟内での活動範囲が拡大し、自立してできることが増えた。自宅へ退院することが方針として決まったが、Aさんは「家に帰っても1人だし、大丈夫かしら」と看護師に話す。 このときのAさんへの声かけで適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 退院への不安を語るAさんには、心配していることをゆっくり聴く姿勢で応じる。
Aさんは内服治療で活動範囲が広がり、自分でできることが増えた。その一方で「家に帰っても1人だし、大丈夫かしら」と、退院後の暮らしへの不安を口にしている。
こうした訴えには、まず気持ちをそのまま聴くことから始める。何を心配しているのかが分かって初めて、必要な支え(社会資源の利用・見守り・息子との連絡)を一緒に考えられる。
残る3つは、不安の中身を聞かないまま話を閉じてしまう。
- 1
「薬の量を増やしてもらえるように主治医に相談してみましょう」不正解
不安の訴えを症状ととらえて薬に結びつけている。活動範囲は広がっており、話を聴く前に治療の変更を持ち出す場面ではない。
- 2
「1人でできることが多くなったからもう大丈夫ですね」不正解
励ましのようでいて、Aさんの不安を打ち消してしまう。「大丈夫」と言われると、それ以上心配を口にできなくなる。
- 3
「心配なことについてゆっくりお聞きしますよ」正解
何が心配なのかを本人の言葉で語ってもらう応じ方で、退院支援に必要な情報もここから得られる。
- 4
「お疲れのようなのでベッドで休みましょう」不正解
話をそらして訴えを退けている。活動範囲が広がっている時期に臥床を勧めるのは、回復にも逆行する。
📚 国試でよく狙われるところ
患者が不安や迷いを訴える場面は、選択肢を「聴く・助言する・打ち消す」に仕分けると答えが決まる。国試ではまず聴くが正解になりやすい。
- 「どんなことが心配ですか」のような開かれた質問は、相手が自由に語れる
- 相手の言葉をそのまま返す繰り返しは、話を続けやすくする
- 「大丈夫ですよ」という安易な保証は、それ以上語れなくする
参考: 退院支援・退院調整に関する標準的看護/対人援助における傾聴の技法
出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について