第103回 看護師国家試験 午前 問51 解説

一般成人看護学✔ 監修済み

📝 問題

Aさん(56歳)は、膵癌で幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を受け、膵臓は約1/3になった。経過は良好である。Aさんの消化吸収機能で正しいのはどれか。

✅ 正解

1

💡 解説

✅ 膵液のリパーゼが減るため、脂肪の吸収が低下する。

膵臓は、脂肪を分解するリパーゼ、蛋白質を分解するトリプシン、糖質を分解するアミラーゼを出している。膵臓が約1/3になると、これらの消化酵素がまとめて減る。 なかでも影響が大きいのが脂肪である。糖質は唾液や小腸の酵素が、蛋白質は胃のペプシンや小腸の酵素が肩代わりできる。 脂肪を分解できるのはリパーゼだけで、代わりがいない。 分解されずに残った脂肪はそのまま便へ出るため、脂肪便や下痢、体重の減少が起こる。食事のたびに消化酵素薬をのみ、脂肪の量を調整する。

他の選択肢は、起こる場所か向きが違っている。

脂肪便とは

消化されなかった脂肪がそのまま出る便。白っぽく、においが強く、水に浮きやすいのが特徴。

  • 1

    脂肪吸収が低下する。正解

    膵臓が小さくなるとリパーゼが減り、脂肪を分解しきれなくなる。吸収されずに残った脂肪が便へ出て、脂肪便や下痢につながる。

  • 2

    ビタミンの吸収障害が起こる。不正解

    ビタミンを吸収する小腸は残るので、ビタミン全般が吸収できなくなるわけではない。脂肪といっしょに吸収される脂溶性ビタミンだけは影響を受けうる。

  • 3

    蛋白質が小腸粘膜から漏出する。不正解

    蛋白質が腸の粘膜から漏れ出るのは蛋白漏出性胃腸症という別の病態。この手術で起こるのは、酵素が足りずに消化しきれないほう。

  • 4

    炭水化物を消化する能力は低下しない。不正解

    逆。膵臓のアミラーゼも減るので、炭水化物を消化する力も落ちる。ただし唾液や小腸の酵素が肩代わりするため、脂肪ほど目立たない。

📚 ここも一緒におさえておこう

膵臓の手術は「消化の働き(外分泌)」と「血糖の働き(内分泌)」に分けて問われる。どちらが減ると何が起こるかを対にして覚えよう。 インスリンを出す細胞もいっしょに減るため、術後は血糖が上がりやすくなる。血糖値の変化を追いながら、食事の量と回数を整える。 脂肪を減らしすぎると体重が戻らない。量を抑えたうえで、回数を分けてとる。

参考: 系統看護学講座 成人看護学 消化器/系統看護学講座 解剖生理学

出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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