第103回 看護師国家試験 午前 問112 解説
📝 問題
次の文を読み112〜114の問いに答えよ。Aさん(35歳、女性)は、右肋骨の骨折で2日前に整形外科病棟に入院した。上半身に多数の内出血のあとがあり、受け持ち看護師がAさんに話を聞いた。Aさんは、夫は機嫌が悪いと暴力を振るい、時には投げ飛ばすこともあり、今回も夫に殴られて骨折したと話した。Aさんは、毎日面会に来る夫に非常におびえており「今話したことは夫には絶対に言わないでほしい。骨折の処置だけしてください」と言う。Aさんは専業主婦で夫と2人で暮らしており、近くに親類や知り合いはいない。 受け持ち看護師の対応で適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 暴力による負傷は警察などへ通報する仕組みがあることを、Aさん本人に伝える。
Aさんは夫からの暴力で肋骨を折り、夫に強くおびえている。 配偶者暴力防止法では、暴力による負傷を見つけた医療者は配偶者暴力相談支援センターや警察へ通報できると定められ、この通報は守秘義務違反にならない。 黙って通報するのではなく、そうした仕組みがあることをAさん本人に伝え、本人の意思を尊重しながら安全の確保を一緒に考える。
他の3つは、Aさんをさらに危険にさらす。 夫に事情を確認すれば、話した内容が伝わって暴力が強まる。 暴力を話題にしないままでは、暴力の続く家へそのまま戻ることになる。 暴力をやめるよう本人から伝えさせるのも、被害を大きくする。
配偶者暴力相談支援センターとは
配偶者からの暴力について相談を受け、安全の確保や自立に向けた支援を行う公的な窓口。都道府県や市町村に置かれている。
- 1
夫にも事情を確認する。不正解
夫に確認すると、Aさんが話した内容が伝わり、暴力がさらに強まる危険がある。加害者への確認は行わない。
- 2
夫の暴力について今後は話題にしない。不正解
話題にしなければ、暴力の続く家庭へそのまま戻ることになる。安全を確かめる話し合いは続ける。
- 3
Aさんから夫に暴力をやめるように伝えることを勧める。不正解
暴力をやめるよう被害者から伝えさせると、加害者を刺激して被害が大きくなる。安全の確保を本人任せにしない。
- 4
病院から警察に通報する必要があることをAさんに伝える。正解
通報の仕組みがあることを本人に伝え、意思を尊重しながら相談窓口や保護につなげる。
📚 国試でよく狙われるところ
配偶者からの暴力は、どこへつなぐかと保護の仕組みが問われる。2024年に変わった点まで押さえよう。
- 相談先は配偶者暴力相談支援センター。都道府県の女性相談支援センター(2024年に婦人相談所から名称が変わった)などがその役割を担う
- 被害者を守る保護命令は裁判所が出す。2024年から接近禁止命令の期間は1年に延び、精神的な暴力による脅迫も対象になった
- 通報を受けた警察や支援センターは、一時保護や住まい・生活の立て直しの支援につなぐ
参考: 配偶者暴力防止法(DV防止法)/内閣府男女共同参画局「配偶者からの暴力被害者支援」
出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について