第114回 看護師国家試験 午後 問112 解説

状況設定精神看護学✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み112〜114の問いに答えよ。 Aさん(21歳、女性、大学生)は、1人で暮らしている。友人関係のトラブルでうつ状態になり、3か月前から精神科クリニックへの通院を開始した。頓用の抗不安薬を処方され不安が高まったときに服用していたが、徐々に酩酊や陶酔感を得るために服用するようになった。最近は指示された抗不安薬の量では酩酊や陶酔感が得られなくなってきたため、数日分の薬を溜めて一度に大量に服用するようになった。抗不安薬を大量に使用した翌日は大学を休むことが続いていた。 Aさんの現在の状態はどれか。

✅ 正解

3

💡 解説

✅ 処方の目的から外れた使い方で生活に支障が出ており、有害な使用〈乱用〉にあたる。

Aさんは不安時の頓用として処方された抗不安薬を、酩酊や陶酔感を得るために使うようになった。数日分をためて一度に大量に飲み、翌日は大学を休んでいる。

処方の目的から外れた使い方であること、学業という社会生活に支障が出ていること。この2点から有害な使用〈乱用〉と判断する。

指示された量では効かなくなってきたという記述は耐性を示すが、いまの段階はまだ「使い方の問題」であり、やめられない状態とまでは書かれていない。

  • 1

    急性中毒の状態である。不正解

    急性中毒は、飲んだ直後に意識障害・呼吸抑制・ふらつきが出ている状態をいう。設問は使い方を述べたもので、いま中毒症状があるという記述はない。

  • 2

    拘禁反応が出現している。不正解

    拘禁反応は、刑事施設への収容など自由が制限された状況で起こる心の反応である。1人暮らしの大学生であるAさんはその状況にない。

  • 3

    有害な使用〈乱用〉である。正解

    処方の目的を外れて使い、大量に飲んだ翌日は大学を休むという実害が出ている。健康や社会生活に害を及ぼす使い方にあたる。

  • 4

    フラッシュバックが出現している。不正解

    フラッシュバックは、幻覚剤や覚醒剤を使った人で、使っていない時期に過去の知覚体験が突然よみがえる現象である。抗不安薬で典型的にみられるものではない。

📚 混同しやすいので注意

乱用・依存・中毒は、どれも「使いすぎ」に見えて意味が違う。

  • 依存症候群は、渇望・量を加減できない・離脱症状・耐性・ほかの楽しみへの関心の低下・害があっても使い続ける、といった項目から診断される
  • 抗不安薬や睡眠薬に使われるベンゾジアゼピン系の薬は短期間・少量が原則で、だらだらと長く使うと依存を生む
  • 処方薬や市販薬の乱用は、違法薬物と比べて手に入りやすく、問題が見えにくい
乱用・依存・中毒の違い
用語意味例
乱用(有害な使用)医学的・社会的規範を外れた使い方で、実害が生じている処方量を超えて酩酊目的で服用する
依存やめたくてもやめられない。精神依存(渇望)と身体依存(耐性・離脱)がある切らすと不安になり手に入れることが最優先になる
中毒物質の作用で心身に障害が生じている状態。急性と慢性がある大量服用による意識障害・呼吸抑制
耐性同じ効果を得るのに必要な量が増える以前の量では酩酊感が得られない

参考: 薬物依存症の治療・回復支援に関する手引き(厚生労働省)/ICD-10 精神および行動の障害

出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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