第114回 看護師国家試験 午前 問115 解説
📝 問題
次の文を読み115〜117の問いに答えよ。 Aさん(30歳、男性)は統合失調症で内服治療をしていた。最近、部屋にこもり、精神科受診以外は外出しなくなった。ある日、母親がAさんの部屋で大量の薬を見つけ、確認すると「薬は飲みたくない」と話した。受診に付き添った母親は「Aは昼間に寝ていて、夜に窓を開けて、隣の家に向かってS悪口を言うなTS監視するなTと大声で怒鳴る」と主治医に話した。Aさんと母親の強い希望があり、精神科病棟に入院することになり、薬物療法が開始された。入院3日、夜間の巡視のたびにAさんは起きていて「隣の人が自分を監視している」「皆が悪口を言っている」と小さな声で看護師に話した。日中はホールで眠そうにしていることもあり、レクリエーションには「疲れた」と言って参加しない。他の患者と話すことはあるがトラブルはない。歯磨きや身だしなみは、声をかけると行う。 Aさんのセルフケアの観察項目で優先度が高いのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 観察の優先度が高いのは活動と休息のバランス。夜間に眠れず日中は傾眠という昼夜逆転がある。
精神科では、オレム・アンダーウッドのセルフケア理論を使って患者の生活をみる。領域は次の6つ。 ・空気・水・食物 ・排泄 ・体温と個人衛生 ・活動と休息のバランス ・孤独と付き合いのバランス ・安全を保つ能力
Aさんは入院前から昼夜が逆転しており、入院3日の今も夜間の巡視のたびに起きていて、日中はホールで眠そうにし、レクリエーションにも参加しない。
活動と休息のバランスが最も崩れている。眠りの乱れは幻聴や妄想を悪化させ、日中の活動と回復を妨げる。薬物療法が始まったばかりなので、日中の眠気が薬によるものか昼夜逆転によるものかを見極める必要もある。
- 1
孤独と付き合いのバランス不正解
「他の患者と話すことはあるがトラブルはない」とあり、対人交流は最低限保たれている。入院前のひきこもりは気がかりだが、今いちばん崩れている領域ではない。
- 2
活動と休息のバランス正解
正しい。夜間は巡視のたびに起きており、日中は眠そうでレクリエーションにも参加しない。昼夜逆転が明らかで、優先度が最も高い。
- 3
安全を保つ能力不正解
被害妄想はあるが、自傷や他害、逸脱した行動の記載はなく、他の患者とのトラブルもない。観察は続けるが、今の時点で最優先ではない。
- 4
個人衛生不正解
歯磨きや身だしなみは「声をかけると行う」とあり、部分的な援助で保てている。活動と休息の乱れほど急ぎではない。
📚 ここも一緒におさえておこう
セルフケアの6領域は、どの事例問題でも「どこが崩れているか」を探す枠組みになる。
- セルフケアの自立度は全介助から自立まで5段階で評価し、必要な援助の量を決める。
- 統合失調症の陽性症状=幻覚・妄想・思考の障害。陰性症状=感情の平板化・意欲の低下・自閉。陰性症状はセルフケアの低下として現れやすい。
- 抗精神病薬の主な副作用=錐体外路症状、悪性症候群、効きすぎによる過鎮静、便秘、口渇、体重増加。
| 領域 | 観察するもの |
|---|---|
| 空気・水・食物 | 呼吸、水分・食事の量、体重、水の飲みすぎ |
| 排泄 | 排便・排尿、薬による便秘や尿閉 |
| 体温と個人衛生 | 保温、入浴、身だしなみ、衣類の調整 |
| 活動と休息のバランス | 睡眠、日中の活動、昼夜のリズム、作業療法への参加 |
| 孤独と付き合いのバランス | 対人交流、ひきこもり、人との距離のとり方 |
| 安全を保つ能力 | 自傷・他害、衝動性、服薬管理、危険物の管理 |
出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について