第113回 看護師国家試験 午後 問81 解説
📝 問題
短期記憶と関係が深いのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 短期記憶と関係が深いのは海馬である。
海馬は側頭葉内側にあり、新しい情報を一時的にとどめ、短期記憶を長期記憶へ固定する役割を担う。障害されると新しいことを覚えられない前向性健忘が起こる。
他は記憶以外の働きを担う部位である。橋は呼吸や睡眠の調節、脊髄は情報の通り道、松果体はメラトニンを出して睡眠のリズムを整え、視床下部は自律神経・内分泌・体温の中枢である。 「記憶=海馬」と結びつけて覚える。
前向性健忘とは
新しく体験したことを覚えられなくなる状態。それより前の記憶は残っていることが多い。
- 1
橋不正解
橋は脳幹の一部で、呼吸調節や睡眠などに関与し記憶の中枢ではない。
- 2
海馬正解
海馬は短期記憶の保持と長期記憶への固定に中心的に関わる。
- 3
脊髄不正解
脊髄は情報を伝える伝導路であり、記憶の形成には関与しない。
- 4
松果体不正解
松果体はメラトニンを分泌し概日リズムを調節する。
- 5
視床下部不正解
視床下部は自律神経・内分泌・体温調節などの中枢である。
📚 これとセットで理解しよう
脳は、部位と働きの組合せで問われる。障害されると何が起こるかまでをひと組にして覚えよう。
- 記憶は短期記憶(数十秒〜数分・容量が限られる)と長期記憶に分けられ、海馬が長期記憶への固定を担う
- 長期記憶のうち陳述記憶(エピソード・意味)は海馬、手続き記憶(技能)は大脳基底核・小脳が関与する
- アルツハイマー病では海馬の萎縮が早期からみられ、近時記憶の障害が目立つ
| 部位 | 主な機能 | 障害されると |
|---|---|---|
| 前頭葉(前頭前野) | 遂行機能、意欲、人格、社会的行動 | 脱抑制、意欲低下、遂行機能障害 |
| Broca〈ブローカ〉野 | 言語の表出 | 運動性(表出性)失語 |
| Wernicke〈ウェルニッケ〉野 | 言語の理解 | 感覚性(受容性)失語 |
| 海馬(側頭葉内側) | 短期記憶の保持と長期記憶への固定 | 前向性健忘(新しいことを覚えられない) |
| 扁桃体 | 情動・恐怖の処理 | 情動反応の異常 |
| 視床下部 | 自律神経・内分泌・体温・摂食・飲水の中枢 | 体温調節障害、摂食異常、尿崩症 |
| 小脳 | 協調運動、平衡、姿勢の保持 | 運動失調、企図振戦、平衡障害 |
| 延髄 | 呼吸・循環・嚥下・嘔吐の中枢 | 生命維持機能の障害 |
参考: 神経生理(海馬と記憶)
出典:「第113回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について