第112回 看護師国家試験 午後 問85 解説
📝 問題
薬物血中濃度モニタリング〈TDM〉の実施が必要な薬物はどれか。2つ選べ。
✅ 正解
3・4
💡 解説
✅ 治療域が狭く血中濃度モニタリングが必要なのは、ジギタリスと炭酸リチウムである。
薬物血中濃度モニタリング〈TDM〉は、有効域(治療域)が狭く中毒域と近接している薬や、効き方の個人差が大きい薬で行う。 ジギタリス(ジゴキシン)と炭酸リチウムはいずれも治療域が狭く中毒を起こしやすいため、TDMの代表的な対象である。
他の選択肢はTDMの対象として典型的でない。ヘパリンはAPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)で効果をモニターし、血中濃度そのもののTDMは通常行わない。インスリンは血糖値でコントロールする。ニトログリセリンは症状(狭心症発作)や血圧で効果を判断し、血中濃度測定は行わない。
国試では、TDMの代表薬がまとめて問われる。代表薬は下の表のとおりで、ほかに免疫抑制薬も対象になる。『治療域が狭く中毒に注意する薬=血中濃度を測る』という原則で判断すればよい。
ジギタリスとは
心臓の収縮力を強め、脈をゆっくりにする薬(ジゴキシンなど)。心不全や心房細動に使う。
APTT〈エーピーティーティー〉とは
血が固まるまでの時間をみる血液検査。ヘパリンが効きすぎていないかの確認に使う。
- 1
ヘパリン不正解
ヘパリンはAPTTで効果をモニターし、血中濃度そのもののTDMは通常行わない。
- 2
インスリン不正解
インスリンは血糖値でコントロールするもので、TDMの対象ではない。
- 3
ジギタリス正解
ジギタリス(ジゴキシン)は治療域が狭く中毒を起こしやすいためTDMの代表的対象である。
- 4
炭酸リチウム正解
炭酸リチウムは治療域が狭く中毒域と近接するためTDMが必要な薬物である。
- 5
ニトログリセリン不正解
ニトログリセリンは症状や血圧で効果を判断し、血中濃度測定(TDM)は行わない。
📚 国試でよく狙われるところ
TDMは「どの薬か」だけでなく「いつ・どう測るか」まで問われる。対象は治療域が狭い薬とひとことで覚え、測り方は次の3つを押さえよう。
- 採血は原則次回投与の直前(トラフ値)。薬によってはピーク値も測る。
- 血中濃度が安定するのは半減期の4〜5倍の時間が経過した定常状態以降。
- ヘパリンはAPTT、ワルファリンはPT-INR、インスリンは血糖値で効果を評価する。
| 薬物 | 主な中毒症状・注意点 |
|---|---|
| ジゴキシン | 悪心・嘔吐、食欲不振、黄視などの視覚異常、徐脈・不整脈。低カリウム血症で中毒が起こりやすい |
| 炭酸リチウム | 振戦、消化器症状、運動失調、意識障害。脱水・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)・利尿薬で血中濃度が上がる |
| テオフィリン | 悪心・嘔吐、頻脈、不穏、けいれん |
| フェニトイン | 眼振、運動失調、構音障害、歯肉増殖 |
| バンコマイシン・アミノグリコシド系 | 腎障害、聴器障害(第Ⅷ脳神経障害) |
参考: 薬理学(薬物血中濃度モニタリング〈TDM〉の対象薬)
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について