第112回 看護師国家試験 午後 問80 解説
📝 問題
成人に経鼻経管栄養の胃管を挿入する方法で適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 経鼻胃管は、先端が咽頭に達したところで嚥下を促して食道へ誘導するのが適切である。
経鼻経管栄養の胃管挿入でいちばん避けたいのは、気管への誤挿入である。チューブが咽頭に達したところで患者に嚥下(つばを飲み込む動作)を促すと、喉頭蓋が気管の入り口をふさぐため、チューブは食道側へ進みやすくなる。
他の選択肢は誤り。消化管への挿入なので無菌操作ではなく清潔操作で行う。挿入時の体位は仰臥位ではなく座位または半座位(ファウラー位)とする。頸部は、咽頭に達するまではやや後屈させておくほうが鼻から咽頭へ通しやすく、前屈させるのは咽頭に達してからなので、前屈のタイミングが逆である。挿入後の位置確認は水の注入ではなく、胃内容物の吸引とpHの確認、確実にはX線撮影で行う。
国試では、挿入時の体位、頸部を前屈させるタイミング、咽頭での嚥下の促し、挿入後の位置確認の4点が繰り返し問われる。水を注入して確かめる方法は、気管に入っていた場合に肺へ流し込むことになるため選ばない。
喉頭蓋とは
のどの奥にあるふた。飲み込むときに倒れて気管の入り口をふさぎ、食べ物や飲み物を食道へ送る。
清潔操作とは
菌をできるだけ持ち込まないように行う操作。器具も術野も無菌に保つ無菌操作とは別で、口や胃のようにもともと菌がいる場所ではこちらで行う。
- 1
無菌操作で行う。不正解
消化管への挿入であり無菌操作ではなく清潔操作で行う。
- 2
挿入時、患者の体位は仰臥位にする。不正解
挿入時の体位は仰臥位ではなく座位または半座位(ファウラー位)が適切である。
- 3
胃管が咽頭に達するまで頸部を前屈してもらう。不正解
頸部を前屈させるのは胃管が咽頭に達してから。それまではやや後屈させたほうが、鼻腔から咽頭へ通しやすい。
- 4
胃管が咽頭に達したら嚥下を促す。正解
胃管が咽頭に達したら嚥下を促すことで食道側へ誘導しやすくなり、気管への誤挿入を防げる。
- 5
水を注入して胃管の先端が胃内に到達したことを確認する。不正解
位置確認は水の注入ではなく、胃内容物の吸引とpHの確認、確実にはX線で行う。水注入は誤嚥の危険がある。
📚 国試でよく狙われるところ
経鼻胃管は、手順のどこか1つをずらした選択肢が並ぶ。「入れるとき・確かめるとき・注ぐとき」の3場面に分けて、それぞれの注意点を覚えよう。
- 挿入の長さは成人でおよそ45〜55cm(鼻尖→耳介→剣状突起をたどった距離)。
- 位置確認の最も確実な方法はX線撮影。胃内容物の吸引とpH5.5以下の確認も有用で、気泡音の聴取だけでは誤挿入を否定できない。
- 注入時は上体を30〜45度以上挙上し、注入後も30分〜1時間はその姿勢を保って逆流を防ぐ。
- 栄養剤は常温に戻して用い、注入速度は毎時200mL程度から様子をみる。
参考: 経鼻経管栄養の挿入・管理技術(基礎看護技術)
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について