第112回 看護師国家試験 午後 問76 解説
📝 問題
全身性エリテマトーデス〈SLE〉でプレドニゾロンを長期間服用している成人女性の患者で、血中濃度が顕著に低下しているのはどれか。
✅ 正解
5
💡 解説
✅ プレドニゾロンの長期服用で血中濃度が顕著に低下するのは、副腎皮質刺激ホルモン〈ACTH〉である。
プレドニゾロン(合成副腎皮質ステロイド)を長期間服用すると、血中の糖質コルチコイドが常に高い状態になり、視床下部・下垂体への負のフィードバックが働く。その結果、下垂体前葉からの副腎皮質刺激ホルモン〈ACTH〉の分泌が抑えられ、血中ACTH濃度は顕著に低下する。 長期投与では自分の副腎の働きも抑えられているため、急な中止は副腎不全を招く危険がある。
他の選択肢は顕著な低下の対象として当てはまらない。インスリンは、ステロイドで血糖が上がるとそれに応じて分泌が増える方向に働く。甲状腺ホルモンとエストラジオールは、プレドニゾロンの服用で直接的・顕著に低下する関係にはない。副甲状腺ホルモン〈PTH〉は血中カルシウムが下がると分泌が増えるホルモンで、ステロイドで低下するものではない。
国試では、外因性ステロイドによる視床下部-下垂体-副腎系の抑制と、長期投与の副作用(易感染・骨粗鬆症・満月様顔貌・副腎不全)が頻出する。フィードバックの仕組みからACTHの低下を導ける。
糖質コルチコイドとは
副腎皮質から出るホルモンの一群で、代表はコルチゾール。炎症を抑え血糖を上げる働きがあり、プレドニゾロンはこれを薬にしたものである。
負のフィードバックとは
ホルモンが足りているとき、上流の司令塔が分泌の指令を止めるしくみ。薬として外から入れたときも、体は同じように反応する。
- 1
インスリン不正解
ステロイドは血糖を上げるため、インスリンはむしろ分泌が増える方向に働く。血中濃度が顕著に低下することはない。
- 2
甲状腺ホルモン不正解
甲状腺ホルモンはプレドニゾロン服用で直接的・顕著に低下する関係にはない。
- 3
エストラジオール不正解
エストラジオールはプレドニゾロン服用で顕著に低下する対象ではない。
- 4
副甲状腺ホルモン〈PTH〉不正解
副甲状腺ホルモン〈PTH〉は血中カルシウムが下がると分泌が増えるホルモンで、プレドニゾロン服用で低下するものではない。
- 5
副腎皮質刺激ホルモン〈ACTH〉正解
ステロイド長期投与では負のフィードバックで下垂体からのACTH分泌が抑制され、血中ACTHが顕著に低下する。
📚 国試でよく狙われるところ
ステロイドは、長期に使ったときの副作用を並べて「当てはまるのはどれか」と問われる。「感染しやすい・骨がもろい・血糖が上がる・気分が変わる」の4本柱を先に思い出し、表で系統ごとに確かめよう。
- 長期投与後の自己判断による急な中止は、悪心・低血圧・ショック(副腎クリーゼ)を招く。必ず漸減する。
- 骨粗鬆症予防にカルシウム・ビタミンDやビスホスホネートが併用されることがある。
| 系統 | 主な副作用 |
|---|---|
| 感染 | 易感染性、日和見感染、結核の再燃(発熱がマスクされる) |
| 内分泌・代謝 | 満月様顔貌、中心性肥満、ステロイド糖尿病、脂質異常、副腎不全 |
| 骨・筋 | 骨粗鬆症、大腿骨頭壊死、ステロイドミオパチー |
| 消化器 | 消化性潰瘍 |
| 精神・神経 | 不眠、多幸感、抑うつ、せん妄 |
| 眼 | 白内障、緑内障 |
| 皮膚 | ざ瘡、皮膚の菲薄化、創傷治癒の遅延 |
参考: 薬理学(副腎皮質ステロイドと視床下部-下垂体-副腎系の負のフィードバック)
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について